二次関数の平行移動と対称移動
今回は、 \(2\) 次関数のグラフの平行移動や対称移動についての問題を扱っていきます。
グラフとは、無数の点がつながれてできています。
それらの点すべてを移動させるのは、イメージが湧きにくいですね。そこで今回は、ある \(1\) 点に着目して、移動を考えていきます。
具体的な問題で、実際に解説を進めていきます。
平行移動と対称移動(問題)
ある放物線を \(x\) 軸方向に \(2\) 、 \(y\) 軸方向に \(-3\) だけ平行移動し、さらに \(x\) 軸に関して対称移動したとき、放物線 \(y=-2x^2-3x+4\) になった。もとの放物線の方程式を求めなさい。
平行移動と対称移動(答案の例)
\(y=-2x^2-3x+4\)
\(=-2(x^2+\displaystyle \frac{3}{2}x)+4\)
\(=-2(x+\displaystyle \frac{3}{4})^2+\displaystyle \frac{9}{8}+4\)
\(=-2(x+\displaystyle \frac{3}{4})^2+\displaystyle \frac{41}{8}\)
まず、 \(x\) 軸に関して対称移動し、\(y=2(x+\displaystyle \frac{3}{4})^2-\displaystyle \frac{41}{8}\)
このグラフの頂点は、(\(-\displaystyle \frac{3}{4}\)、\(-\displaystyle \frac{41}{8}\))
次に、頂点を \(x\) 軸方向に \(-2\) 、 \(y\) 軸方向に \(3\) だけ平行移動させると、
(\(-\displaystyle \frac{11}{4}\)、\(-\displaystyle \frac{17}{8}\))
つまり、もとのグラフは、
\(y=2(x+\displaystyle \frac{11}{4})^2-\displaystyle \frac{17}{8}\)
\(=2(x^2+\displaystyle \frac{11}{2}x+\displaystyle \frac{121}{16})-\displaystyle \frac{17}{8}\)
\(=2x^2+11x+\displaystyle \frac{121}{8}-\displaystyle \frac{17}{8}\)
\(=2x^2+11x+13\)
平行移動と対称移動(解説)
まず、基本的な考え方として、移動させた後のグラフを少しずつ元に戻すという方法をとっていきます。
今回であれば、放物線 \(y=-2x^2-3x+4\) になるためには、以下の手順を踏んでいます。
① \(x\) 軸方向に \(2\) 、 \(y\) 軸方向に \(-3\) だけ平行移動
② \(x\) 軸に関して対称移動
よって、これらを巻き戻して考えるため、まずは最終的に出来上がった放物線 \(y=-2x^2-3x+4\) に対して、②を元に戻し、次に①を元に戻すようにグラフを変形させればよい、ということですね。
では、やっていきましょう。
\(x\) 軸に関して対称移動されたグラフを元に戻そうとすると、下の図のようになります。
仮にこの図のように、上に開いた原点を通る \(2\) 次関数のグラフを \(x\) 軸に関して対称移動させた場合を考えます。
\(x\) 座標と \(y\) 座標がそれぞれ \(a\) と \(b\) である点に着目して考えると、 \(y\) 座標は \(a\) から \(-a\) で対称的になっていますが、 \(x\) 座標である \(b\) の値は、移動後も同じですよね。
つまり、 \(x\) 軸に関して対称移動させると、 \(y\) 座標の正負の符号だけが逆転していたということがわかります。
これにより、 \(y\) 座標の符号を入れ替え、以下のようにします。
\(y=-2x^2-3x+4 \longrightarrow \) \(-y\) \(=-2x^2-3x+4\)
そして、両辺に \(-1\) をかけることで、
\(y=2x^2+3x-4 \cdots Ⅰ\)
となります。ここまでが、 \(x\) 軸対称まで戻したときのグラフです。
さて、次はグラフの頂点に着目して移動を考えてみましょう。
まずは\(Ⅰ\)を平方完成し、
\(y=2(x^2+\displaystyle \frac{3}{2}x)-4\)
\(=2(x+\displaystyle \frac{3}{4})^2-\displaystyle \frac{9}{8}-4\)
\(=2(x+\displaystyle \frac{3}{4})^2-\displaystyle \frac{41}{8} \cdots Ⅱ\)
よって、このグラフの頂点は、(\(-\displaystyle \frac{3}{4}\)、\(-\displaystyle \frac{41}{8}\))となります。
この頂点に対して、①を元に戻す作業を行います。
つまり、 \(x\) 軸方向に \(-2\) 、 \(y\) 軸方向に \(3\) だけ平行移動させるのです。
来た道を元に戻る作業は、反対方向に進むということですね。
つまり、新たなグラフの頂点は、
(\(-\displaystyle \frac{3}{4}-2\)、\(-\displaystyle \frac{41}{8}+3\)) \(\longrightarrow\) (\(-\displaystyle \frac{11}{4}\)、\(-\displaystyle \frac{17}{8}\))
となるわけです。
これにより、元のグラフは、\(Ⅱ\)のグラフの頂点を上記の座標にした
\(y=2(x+\displaystyle \frac{11}{4})^2-\displaystyle \frac{17}{8}\)
であることがわかります。
あとは、右辺を展開し、
\(=2(x^2+\displaystyle \frac{11}{2}x+\displaystyle \frac{121}{16})-\displaystyle \frac{17}{8}\)
\(=2x^2+11x+\displaystyle \frac{121}{8}-\displaystyle \frac{17}{8}\)
\(=2x^2+11x+13\)
となります。
答案の例では、最初に平方完成をしてしまってから \(x\) 軸対称を施していますが、途中で平方完成をする場合でも同じ答えになります。
このように、基本的にある \(1\) 点に着目する方法が、最もやりやすいでしょう。
おわりに
さいごまで記事を読んでいただきありがとうございました!
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