絶対値とは?
今回は絶対値を含む方程式の計算を紹介します。絶対値は数学の中でも解き方がわかりにくく、拒否反応を示す方も多いと思います。
「絶対値」という表現が威圧的ですよね。そんなことないですか?
みなさん、距離にマイナスという表現がないことはわかると思います。自宅から学校までマイナス \(3\) kmなんて言わないですよね。この知識を使って、絶対値の問題の解き方を考えていきます。
絶対値の問題
次の方程式を解きなさい。
(\(1\))\(|x-3|=6\)
(\(2\))\(|x-4|=3x\)
>>詳細はこちらから
答案の例
(\(1\)) \(|x-3|=6\)
\((i)\) \(x-3>0\) の場合
すなわち \(x-3=6\) (ただし、 \(x>3\))
よって、 \(x=9\) 。これは\(x>3\) に当てはまる。
\((ii)\) \(x-3<0\) の場合
すなわち \(-x+3=6\) (ただし、 \(x<3\))
よって、 \(x=-3\) 。これは\(x<3\) に当てはまる。
結果、 \(x=-3 ,9\)
(\(2\)) \(|x-4|=3x\)
\((i)\) \(x-4>0\) の場合
すなわち \(x-4=3x\) (ただし、 \(x>4\))
よって、 \(x=-2\) 。これは\(x>4\) に当てはまらない。
\((ii)\) \(x-4<0\) の場合
すなわち \(-x+4=3x\) (ただし、 \(x<4\))
よって、 \(x=1\) 。これは\(x<4\) に当てはまる。
結果、\(x=1\)
解説
(\(1\)) \(|x-3|=6\)
上記でも示したように、絶対値とは \(0\) からの「距離」のことなので、例えば \(+8\) は \(0\) からプラス方向に \(8\) だけ進んでいるので絶対値は \(8\) 、 \(-2\) は \(0\) からマイナス方向に \(2\) だけ進んでいるので絶対値は \(2\) といった具合です。
このように、どれだけ進んだかのみを知りたいので、符号という表現がないのがわかるかと思います。
\(+8\) や \(-2\) などの距離だけを抽出した式を、絶対値の記号を使って以下のように表現します。
\(|+8|=8\) 、\(|-2|=2\)
ここで、わかりやすくするために、 \(+8\) を純粋に \(8\) と表現して上記の式を見て見ると、
\(|8|=8\)
となり、絶対値の記号がそのまま外れている形になっているのがわかるかと思います。
逆に、\(-2\) などの負の数は、 \(-(-2)\) のように、マイナスをつけて外さないと、 \(2\) という距離を表現できません。
☆絶対値の外し方
<中身が正の数の場合は、そのまま外す>
例)\(|8|=8\)
<中身が負の数の場合は、マイナスをつけて外す>
例)\(|-2|=-(-2)=2\)
この考え方は、絶対値の中身が具体的な数ではなくなった場合に役に立ちます。
では、今回の問題を実際に考えていきましょう。
今回は、絶対値の中身に文字が含まれています。つまり、中身が正の数なのか負の数なのかがわかりません。そこで、場合分けをしていきます。
① \(x-3>0\)のとき(中身が正の数のとき)
② \(x-3<0\)のとき(中身が負の数のとき)
まず①のときですが、この場合は絶対値の中身が正の数なので、そのまま絶対値の記号を外し、
\(x-3=6\)
となります。これを解き、 \(x=9\) となるわけです。
ここで注意したいのは、①の条件は \(x-3>0\)のときなので、 「\(x>3\) 」を満たす \(x\) の値についてのみ考えているということです。
\(x=9\) は「 \(x>3\) 」を満たしているので、この答えは条件を満たすため、成立していることになります。
この確認は必ず行いましょう。今回の問題に限らず、ある条件を設定したら、最終的な答えが条件に合っているかを確かめることは、数学においてはとても大切な過程です。
次に、②のときですが、この場合は絶対値の中身が負の数なので、マイナスをつけて絶対値の記号を外し、
\(-(x-3)=6\)
\(-x+3=6\)
\(-x=3\)
\(x=-3\)
となります。これは、\(x-3<0\)の条件「 \(x<3\)」を満たしています。
結果、 \(x=-3 ,9\) が答えとなります。
(\(2\)) \(|x-4|=3x\)
この問題も、(\(1\))と同様に考えます。
つまり、
① \(x-4>0\)のとき(中身が正の数のとき)
② \(x-4<0\)のとき(中身が負の数のとき)
を考えます。
まず①のとき、
\(x-4=3x\)
\(x-3x=4\)
\(-2x=4\)
\(x=-2\)
となりますが、①の条件は「\(x>4\)」であることに注意しましょう。これにより、\(x=-2\) は当てはまらず、①の場合は解なしということになるわけです。
次に②のとき、
\(-x+4=3x\)
\(-x-3x=-4\)
\(-4x=-4\)
\(x=1\)
となり、②の条件は「\(x<4\)」なので、条件に当てはまっています。
これらより、\(x=1\)のみが答えとなります。
<場合分けしたときの注意事項>
① 場合分けの条件を明確にする
② 解が出たら、場合分けの条件に合っているかどうかを確認する
おわりに
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
【最新】こちらの記事がおすすめ!