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【平方根】平方根と式の値

目次

データアナリストへの道

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平方根と式の値

今回は平方根が含まれた式の値の問題を扱っていきます。式の値と言っても、問題のパターンはたくさんあるのですが、今回は以下の二つの特徴をもった問題を扱います。

 ① 代入する値が複雑になっているもの
 ② 代入する値の中に文字が含まれているもの

②は例えば、 「\(x=a\) 、 \(a=1\) のとき、\(\sqrt{x^2+a}\)の値を求めなさい。」などです。

では、実際に見ていきましょう。

平方根と式の値(問題)

次の式の値を求めなさい。

(\(1\))\(x=\displaystyle \frac{\sqrt{5}-\sqrt{3}}{\sqrt{5}+\sqrt{3}}\)、\(y=\displaystyle \frac{\sqrt{5}+\sqrt{3}}{\sqrt{5}-\sqrt{3}}\) のときの \(5x^2+7xy+5y^2\) の値

(\(2\))\(x=a^2+1\)、\(a=\sqrt{3}-1\) のときの \(\sqrt{x+2a}+\sqrt{x-2a}\) の値

答案の例

(\(1\))

\begin{eqnarray} x+y &=& \displaystyle \frac{\sqrt{5}-\sqrt{3}}{\sqrt{5}+\sqrt{3}} + \frac{\sqrt{5}+\sqrt{3}}{\sqrt{5}-\sqrt{3}}\\ &=& \displaystyle \frac{(\sqrt{5}-\sqrt{3})^2}{2} + \frac{(\sqrt{5}+\sqrt{3})^2}{2}\\ &=& 8 \end{eqnarray} \begin{eqnarray} xy &=& \displaystyle \frac{\sqrt{5}-\sqrt{3}}{\sqrt{5}+\sqrt{3}} \times \frac{\sqrt{5}+\sqrt{3}}{\sqrt{5}-\sqrt{3}}\\ &=& 1 \end{eqnarray}

よって、

\begin{eqnarray} 5x^2+7xy+5y^2 &=& 5\bigl\{ (x+y)^2-2xy \bigr\}+7xy\\ &=& 5(x+y)^2-3xy\\ &=& 5 \times 8^2-3 \times 1\\ &=& 317 \end{eqnarray}

(\(2\))

\begin{eqnarray} \sqrt{x+2a}+\sqrt{x-2a} &=& \sqrt{a^2+1+2a}+\sqrt{a^2+1-2a}\\ &=& \sqrt{(a+1)^2}+\sqrt{(a-1)^2}\\ &=& \sqrt{(\sqrt{3})^2}+\sqrt{(\sqrt{3}-2)^2} \end{eqnarray}

\(\sqrt{3}-2<0\) により、\(\sqrt{3}-\sqrt{3}+2=2\)

解説

(\(1\)) 

代入する値(今回であれば \(x\) と \(y\) )について、 \(x+y\) と \(xy\) のことを基本対称式と言いますが、これらを考えることがまず第一ステップとなります。

式の値を求める問題で、代入する値が \(2\) 種類や \(3\) 種類ある場合は、大抵それらは似た見た目になっている可能性が高いです。今回も、 \(x\) と \(y\) は分子と分母を入れ替えただけですね。

これも、基本対称式を使う合図の一つです。

さて、今回の場合で基本対称式を考えると、まず \(x+y\) についてですが、

$$x+y=\displaystyle \frac{\sqrt{5}-\sqrt{3}}{\sqrt{5}+\sqrt{3}} + \frac{\sqrt{5}+\sqrt{3}}{\sqrt{5}-\sqrt{3}}$$

ここで、分母のルートを外すため、前半は \(\sqrt{5}-\sqrt{3}\) 、後半は \(\sqrt{5}+\sqrt{3}\) を分母にかけます。

分母にかけるものは分子にもかけないと値が変わってしまうので、つまり、

\(x+y=\displaystyle \frac{\sqrt{5}-\sqrt{3}}{\sqrt{5}+\sqrt{3}} \times \frac{\sqrt{5}-\sqrt{3}}{\sqrt{5}-\sqrt{3}} + \frac{\sqrt{5}+\sqrt{3}}{\sqrt{5}-\sqrt{3}} \times \frac{\sqrt{5}+\sqrt{3}}{\sqrt{5}+\sqrt{3}}\)
  \(=\displaystyle \frac{(\sqrt{5}-\sqrt{3})^2}{5-3} + \frac{(\sqrt{5}+\sqrt{3})^2}{5-3}\)
  \(=\displaystyle \frac{5-2\sqrt{15}+3}{2} + \frac{5+2\sqrt{15}+3}{2}\)
  \(=\displaystyle \frac{16}{2}\)
  \(=8\)

次に \(xy\) について計算しますが、分子と分母を入れ替えただけの数をかけるので、きれいに約分されて \(1\) になります。

これにより、あとはもとの式を \(x+y\) と \(xy\) を使って表し、先程求めた値を代入すれば終わりとなります。

よって、

 \(5x^2+7xy+5y^2\)
 \(=5\bigl\{ (x+y)^2-2xy \bigr\}+7xy\)
 \(=5(x+y)^2-3xy\)
 \(=5 \times 8^2-3 \times 1\)
 \(=317\)

< \(x+y\) と \(xy\) の作り方>
基本的に、上の例でみれば、\(+7xy\) はすでに \(xy\) を使って表されているので、ふれる必要はないわけです。つまり、\(5x^2+5y^2\) をどうにかして \(x+y\) と \(xy\) で表したいのですが、こういうときは、 \((x+y)^2\) を作るように式を見てみます。

つまり、
 \(5x^2+5y^2\)
\(=5(x^2+y^2)\)
\(=5\bigl\{ (x+y)^2-2xy \bigr\}\)
となるわけです。

変形の仕方としてよく出てくる「 \(x^2+y^2=(x+y)^2-2xy」は、 \(x+y\) と \(xy\) を生成するのにはとても便利です。
最初は難しく感じるかもしれませんが、この変形を頭に入れておくだけで、多くの問題に対応できるでしょう。

(\(2\))

今回は対称式の形ではないので、純粋に代入して解くのですが、(\(1\))とは違う罠があるので、一緒に考えていきましょう。

とりあえず代入すると、以下のようになるはずです。

 \(\sqrt{x+2a}+\sqrt{x-2a}\)
\(=\sqrt{a^2+1+2a}+\sqrt{a^2+1-2a}\)
\(=\sqrt{(a+1)^2}+\sqrt{(a-1)^2}\)
\(=\sqrt{(\sqrt{3})^2}+\sqrt{(\sqrt{3}-2)^2}\)

まずは \(x\) を代入し、次に \(a\) を代入しました。 \(3\) 行目で因数分解しているのは、ルートを外すためです。また同時に、この後の作業で罠を見つけやすくするためでもあります。

さて、ここからですが、ルートの中の数に着目します。
一般的に、例えば \(\sqrt{3^2}\) などの場合、 \(2\) 乗ができているのでルートの外に出すことができ(ルートを外すことができ)、 \(3\) となるはずです。しかし、 \(\sqrt{(-3)^2}\) であれば、そのままルートの外に出して \(-3\) とはできないはずですね。

実数の範囲では、ルートの値は正の数でなければならない」

上記の例では、
  \(\sqrt{(-3)^2}=-3\)
のようになり、ルートの値(左辺)とマイナスの値(右辺)が等しくなってしまうため、この変形は間違っているという結果になります。

\((-3)^2\) のように、そのままルートを外すとマイナスの値になってしまう場合には、一回 \(2\) 乗を計算し、 \(9\) としてから、 \(3^2\) のように戻してルートの外に出すことで、 \(3\) という結果を得ます。

つまり、ルートの値を正の数にするためには、ルートの中も正の数にしなければならないのです。

つまり、ルートの中身が \(2\) 乗の形で表されていても、 \(2\) 乗の中身が正の数でなければそのまま外すことはできず、仮に負の数だった場合は \(2\) 乗の中身に \(-1\) をかけてから、ルートとともに \(2\) 乗を外します。

〈ルートの中身が正の数〉

 \(\sqrt{3^2}=3\)

〈ルートの中身が負の数〉

 \(\sqrt{(-3)^2}=\sqrt{3^2}=3\)

ここで、今回の問題を考えてみましょう。

\(\sqrt{(\sqrt{3})^2}\) は、 \(2\) 乗の中身が \(\sqrt{3}\) という正の数なので、そのまま外して \(\sqrt{3}\) となりますが、後半の \(\sqrt{(\sqrt{3}-2)^2}\) に関しては、\(\sqrt{3}-2\) が負の数のため、
  \(\sqrt{(\sqrt{3}-2)^2}\)
 \(=\sqrt{(2-\sqrt{3})^2}\)
 \(=2-\sqrt{3}\)

となるわけです。

あとは、これらの和を考え、\(\sqrt{3}+2-\sqrt{3}=2\) が答えとなります。

おわりに

さいごまで読んでいただきありがとうございました!

このブログは統計学を学びたい学生/社会人向けに記事を書いています。

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