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【式と証明】『不等式の証明』( \(A-B>0\))

目次

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不等式の証明は、「大きい方 \(-\) 小さい方」を作れ

今回は不等式の証明を扱います!

不等式は、もちろん大小関係がある式のことを言いますが、このジャンルの証明は、基本的に「大きい方 \(-\) 小さい方」を作ります!

「\(A\geq B\) を示したい。」

を日本語に言い換えると、

「\(A\) が \(B\) 以上であることを示したい」

となります。つまり、「\(A-B\) が \(0\) 以上であること」を示せば良いということになります。

【不等式の証明の一般的な解法】

\(A\geq B\) を示すことは、\(A-B\geq 0\) を示すことと同義となる。

では実際に問題を見ていきましょう!

不等式の証明の問題

\(x^2-6xy+10y^2 \geq 4y-4\) を証明しなさい。また、等号が成立するのはどのような場合か、答えなさい。

答案の例

右辺を移項し、\(x^2-6xy+10y^2-4y+4 \geq 0\)

ここで、左辺について、
 \(x^2-6xy+10y^2-4y+4\)
 \({x^2-6xy+9y^2}+y^2-4y+4\)
 \((x-3y)^2+(y-2)^2\)

\((x-3y)^2 \geq 0\)、\((y-2)^2 \geq 0\)より、\((x-3y)^2+(y-2)^2 \geq 0\)となる。

また、等号成立は、\(x-3y=0\) 、 \(y-2=0\)のときである。
よって、 \(x=6\)、 \(y=2\)

解説

まず、不等式は、「大きい方 \(-\) 小さい方」を作って、これらが \(0\) 以上であることを示すのが基本の流れです。

そこで、右辺を移項し、\(x^2-6xy+10y^2-4y+4 \geq 0\) とします。あとは、左辺が \(0\) 以上であることを示せば終わりです。

ここで、確実に \(0\) 以上というためにはどうすれば良いでしょうか?
具体的な数であれば、 \(0\) 以上かどうかを確認できますが、文字はどんな条件がそろった時に絶対に \(0\) 以上(正の数)になると言えるのでしょうか?

答えは、 \(x^2\) 、 \((x-4)^2\)などのように、 \(2\) 乗の形を作ることです。こうすれば、
 \(2\) 乗の中が正の数のとき \(\longrightarrow\) \([+] \times [+]\)
 \(2\) 乗の中が負の数のとき \(\longrightarrow\) \([-] \times [-]\)
となり、どちらの結果も正の数になりますね。

つまり、例えば\((x-4)^2\)を例にとると、この式を作るために、もとの式に \(x^2-8x+16\) があればいいわけですね。

今回の式について、この考えのもとで式変形をしていきます。

\(x^2-6xy+10y^2-4y+4\)
\(=x^2-6xy+9y^2+y^2-4y+4\)

ポイントは、 \(10y^2\) を \(9y^2\) と \(y^2\) に分解しているところです。
こうすれば、
 \(x^2-6xy+9y^2=(x-3y)^2\)
 \(y^2-4y+4=(y-2)^2\)
と、前後をそれぞれ \(2\) 乗の形に変形できます。

この式変形の最初の考え方は、以下の図のように、 \(x^2\) を見て、ひとまず赤のような穴あきの式を作ってみるところから始めます。
次に、 \(-6xy\) に着目し、青の部分をすべて掛け合わせることでこの項が出てきていると考えます。すると、 \(-3y\) という答えが導き出されます。

これにより、 \(x^2-6xy\) は \((x-3y)^2\)になるのでは?というところまできますが、この等式は成り立ちません。成立させるためには、 \(9y^2\) が必要なのです。これにより、 \(9y^2\) を作り出しています。

\(x^2-6xy\) \(+9y^2\) \(=(x-3y)^2\)

これにより、 \(x^2-6xy+9y^2+y^2-4y+4\)ができたら、
 \(x^2-6xy+9y^2+y^2-4y+4\)
\(=(x-3y)^2+y^2-4y+4\)
\(=(x-3y)^2+(y-2)^2\)

となります。よって、 \(2\) 乗と \(2\) 乗のたし算なので、必ず \(0\) 以上になるはずですね。(\((x-3y)^2+(y-2)^2 \geq 0\))

これにより、\(x^2-6xy+10y^2-4y+4 \geq 0\) が示され、もとの不等式 \(x^2-6xy+10y^2 \geq 4y-4\) が示されたことになります。

また、等号が成り立つときは、\((x-3y)^2+(y-2)^2=0\) のときである。

 \(2\) 乗になっているものの和が \(0\) になるためには、各々が \(0\) になるしかなく、 \((x-3y)^2=0\) 、 \((y-2)^2=0\) ということは、\(x-3y=0\) 、 \(y-2=0\)が成り立てばいいということである。

よって、 \(2\) つ目の式から、 \(y=2\) を得るので、 \(1\) つ目の式に代入して、 \(x=6\) を得ることで証明終了です。
 

おわりに

さいごまで読んでいただきありがとうございました!

このブログは統計学を学びたい学生/社会人向けに記事を書いています。

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