\(\neq\) が条件式に含まれていたら、どう解くか
今回は複雑な条件式が含まれる等式の証明を扱っていきます。中でも、\(\neq\) が条件式にあるものを紹介します。
例えば、\(x \neq y\) ということは、もちろん \(x\) と \(y\) が同じ値を取らないということではありますが、 \(y\) を移項すると、
ということになりますね。これがどういう意味なのか、考えるところから始めていきましょう。
まずは問題を見ていきましょう!
等式の証明の問題
\(x^2-yz=2\), \(y^2-zx=2\), \(x \neq y\)のとき、\(z^2-xy=2\)であることを証明しなさい。
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答案の例
\(x^2-yz=2 \cdots ①\)、\(y^2-zx=2 \cdots ②\) とする。
\(①-②\)から、
\(x^2-y^2-(yz-zx)=0\)
よって、
\((x-y)(x+y+z)=0\)
\(x \neq y\) により、\(x+y+z=0\)
ゆえに、 \(x+y=-z \cdots ③\)
\(①+②\)から、
\(x^2+y^2-(yz+zx)=4\)
よって、
\((x+y)^2-2xy-z(x+y)=4\)
③から、\(z^2-2xy+z^2=4\)
ゆえに、\(2z^2-2xy=4\)
\(z^2-xy=2\)
解説
まずは前半で触れていた、\(x \neq y\) の条件の使い方を説明していきます。まず \(y\) を移項し、\(x-y \neq 0\) を作るところまでは説明しましたね。
\(0\) ではない、とはどういうことでしょうか。
例えば、
\((x-y)(a+b)=0\)
という因数分解がされた式があるとします。この式は、 \(x-y\) か \(a+b\) のどちらかが \(0\) にならないと、等式が成り立ちません。
つまり今のところ、\(x-y=0\) か \(a+b=0\) の \(2\) パターンを考えなければいけない状況です。
しかし、\(x-y \neq 0\) という条件が与えられていた場合、 \(0\) になるのは \(a+b\) で確定するのです。
このように、因数分解された式の因数に \(x-y\) を含むようにすれば、場合分けの数を \(1\) つ減らせるのです。
問題もこの知識を使うことを意図して作られているので、 \(x-y\) を因数に含むように因数分解された式が、必ずどこかで出てくるはず、と考えましょう。
さて、本題に戻ります。
ではどうやって \(x-y\) を作り出せばいいのかです。
今回は、\(x \neq y\) 以外に、式が \(2\) つ与えられていますね。みなさん、式が \(2\) 本あるとき、中学校までの知識だけを使おうとすると、連立方程式を思い浮かべませんか?
そしてその時の解き方は、加減法と代入法の \(2\) 種類あったと思います。
考え方はそれとほぼ同じです。
例えば、
「\(x^2-yz=2\)」を、 「\(z=\displaystyle \frac{x^2-2}{y}\)」 と変形して、もう一つの式に代入しようとすれば、代入法。
「\(x^2-yz=2\)」と「\(y^2-zx=2\)」を足したり引いたりしてみようと考えれば、加減法です。
今回は、代入しようとすると分数が出てくるため、加減法の方を採用することにします。
\(2\) 式を足し合わせると、
\(x^2+y^2-(yz+zx)=4 \cdots A\)
引き合わせると、
\(x^2-y^2-(yz-zx)=0 \cdots B\)
\(B\) の式について、
\((x-y)(x+y)-(yz-zx)=0\)
\((x-y)(x+y)-z(y-x)=0\)
\((x-y)(x+y)+z(x-y)=0\)
\((x-y)(x+y+z)=0\)
ここで、\(x-y \neq 0\) なので、\(x+y+z=0\)となります。この式は、あとで使います。
次に、\(A\) の式について、
\((x+y)^2-2xy-z(y+x)=4\)
ここで、\(x+y+z=0\)について \(z\) を移項した \(x+y=-z\) を使って、上記の式を変形し、
\((x+y)^2-2xy-z(y+x)=4\)
\((-z)^2-2xy-z \times (-z)=4\)
\(z^2-2xy+z^2=4\)
\(2z^2-2xy=4\)
\(z^2-xy=2\)
\(A\) の式変形が思いつかないという人は、\(x+y+z=0\)を使って \(z=-x-y\) とし、
\(x^2+y^2-(yz+zx)=4 \cdots A\)
\(z^2-xy=2 \cdots 示す式\)
の \(2\) 式から、 \(z\) を消去するやり方でもいいと思います。
\(A\) について、
\(x^2+y^2-(yz+zx)=4\)
\(x^2+y^2-z(y+x)=4\)
\(x^2+y^2-(-x-y)(y+x)=4\)
\(x^2+y^2+(x+y)(y+x)=4\)
\(x^2+y^2+(x+y)^2=4\)
\(x^2+y^2+x^2+2xy+y^2=4\)
\(2x^2+2y^2+2xy=4\)
\(x^2+y^2+xy=2\)
次に示す式について、
\(z^2-xy=2\)
\((-x-y)^2-xy=2\)
\(x^2+2xy+y^2-xy=2\)
\(x^2+y^2+xy=2\)
よって、これらの式は同じだということがわかります。問題集に書いてある解答以外にも、解き方にはいくつかルートがありますので、一定のやり方に捕らわれないことをオススメします。
おわりに
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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