恒等式とは
今回は恒等式の性質を利用した問題を紹介します。
問題文に含まれる馴染みのない言葉によって、少し解きにくいと思うかもしれないものを扱いますので、ぜひご一読ください。
恒等式とは、「変数 \(x\) がどんな値のときでも成立する等式」を言います。
恒等式と方程式の違いを並べてみると恒等式がわかりやすいかもしれません。
\(x\) が特定の値のときだけ
例)\(2x-4=0\)
\(x=2\) のときだけ等号が成立する。
\(x\) がどんな値のときでも
例)\((x+1)^2=x^2+2x+1\)
\(x=0\), \(1\), \(2\) \(\cdots\) どんな値でも等号が成立する。
恒等式(問題)
等式 \((k+2)x+(k-1)y-k-5=0\) が実数 \(k\) の任意の値に対して成り立つ。このとき、 \(x\) 、 \(y\) の値を求めなさい。
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答案の例
与式を \(k\) について整理すると、
\((x+y-1)k+2x-y-5=0\)
これが \(k\) の任意の値に対して成り立つため、以下の \(2\) 式が成り立つ。
\(x+y-1=0\)
\(2x-y-5=0\)
これらの連立方程式を解き、 \(x=2,y=-1\)
解説
まず、問題文にある「任意の値に対して成り立つ」という部分を見てみましょう。これは、 \(k\) の値に何を入れても式が成り立つ、ということを意味しています。
つまり、 \(k\) に関する恒等式が成り立つということになります。
ということで、 \(k\) について式を整理するところから始めてみましょう。
\((k+2)x+(k-1)y-k-5=0\)
\(\longrightarrow (x+y-1)k+2x-y-5=0\)
そしてここで、右辺が \(0\) になっていることに着目!
右辺が \(0\) なので、左辺も \(0\) にならなければなりませんね。\(k\) にはあらゆる値が入る可能性があるので、この項を \(0\) にするためには、かけられている \((x+y-1)\) を \(0\) にしなければなりません。
これにより、\(x+y-1=0\) という式が生まれます。
また、 \((x+y-1)k\) が \(0\) になった場合、残った \(2x-y-5\) を \(0\) にすれば左辺全体が \(0\) になるため、 \(2x-y-5=0\) という式が生まれるわけです。
よって、これらを連立させて解くことにより、\(x=2,y=-1\) を得ます。
このように、「任意の値に対して成り立つ」と言われた場合は、「恒等式が関係している」という認識で解き進める。そうすると、問題を解く糸口が見つかるかもしれませんので、参考にしてみてください。
おわりに
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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