等差数列の一般項
今回は、第 \(n\) 項や特定の区間の和の情報が \(2\) つ与えられている場合の等差数列の一般項を求める問題です。
初項や公差が直接与えられているわけではないので、一般的な等差数列の問題とは違います。
他にも一般項を求める問題は数多くありますが、これから少しずつパターンを紹介していきますので、一緒に数学的センスを磨いていきましょう。
等差数列の一般項
\(a\):初項, \(n\):項数, \(d\):公差
\(a_n=a_1+(n-1)d\)
等差数列の和の一般項
\(n\):項数, \(a\):初項, \(l\):末項,
\(d\):公差
\(S_n=\displaystyle \frac{1}{2}n(a+l)\) \(\cdots\) 公式①
\(S_n=\displaystyle \frac{1}{2}n \left\{2a+(n-1)d \right\}\) \(\cdots\) 公式②
等差数列(問題)
次の問いに答えなさい。
( \(1\) ) 第 \(59\) 項が\(70\) で、第 \(66\) 項が \(84\) である等差数列を求めよ。
( \(2\) ) 初項から第 \(9\) 項までの和が \(0\) であり、初項から第 \(15\) 項までの和が \(90\) である等差数列を求めよ。
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答案の例
( \(1\) )
この等差数列の初項を \(a_1\) 、公差を\(d\) とすると、第 \(n\) 項は \(a_n=a_1+(n-1)d\)
第 \(59\) 項が \(70\) なので、\(a_1+58d=70\)
第 \(66\) 項が \(84\) なので、\(a_1+65d=84\)
この連立方程式を解いて、\(a_1=-46\) 、\(d=2\)
したがって、一般項は
\(a_n=-46+(n-1) \times 2\)
\(=2n-48\)
( \(2\) )
この等差数列の初項を \(a_1\) 、公差を\(d\) とすると、第 \(n\) 項は \(a_n=a_1+(n-1)d\)
これにより、初項から第 \(9\) 項までの和は、 \(S_9=\displaystyle \frac{1}{2} \times 9 \times (a_1+a_9)\)
その和が \(0\) なので、\(a_9=a_1+(9-1)d\) であることを考慮し、
\(S_9=\displaystyle \frac{1}{2} \times 9 \times \bigl\{ 2a_1+(9-1)d \bigr\}=0\)
\(a_1+4d=0 \cdots ①\)
同様に、初項から第 \(15\) 項までの和は、 \(S_{15}=\displaystyle \frac{1}{2} \times 15 \times (a_1+a_{15})\)
その和が \(90\) なので、\(a_{15}=a_1+(15-1)d\) であることを考慮し、
\(S_{15}=\displaystyle \frac{1}{2} \times 15 \times \bigl\{ 2a_1+(15-1)d \bigr\}=90\)
\(a_1+7d=6 \cdots ②\)
①と②の連立方程式を解き、\(a_1=-8\) 、 \(d=2\) となる。
よって、
\(a_n=-8+2(n-1)\)
\(a_n=2n-10\)
解説
( \(1\) )
これは、中学校で習った連立方程式と似たような問題です。
連立方程式では、未知数が \(x\) 、\(y\) の\(2\) 種類あり、同じ未知数が入った式が \(2\) 本ある場合、これらの文字を具体的に求めることができるものでしたね。
等差数列の一般項の公式は、\(a_n=a_1+(n-1)d\) です。
この中にある未知数は、\(a_n\)、\(a_1\)、\(n\)、\(d\)の \(4\) 種類なので、問題の条件を使ってこの未知数の数を減らし、最終的に連立方程式で解く、というのが解き方の流れとなります。
順にみていきましょう。
問題では、第 \(59\) 項が \(70\) であるという条件が与えられているので、これを式にすると
\(a_{59}=70\)
となります。これは、\(n=59\) としたときの値が \(70\) であるということなので、
\(a_1+(59-1)d=70\)
\(a_1+58d=70 \cdots ①\)
これにより、未知数が \(2\) つになりましたね。
同じような条件として、第 \(66\) 項が \(84\) であると言われているので、同様に式を作り、
\(a_1+65d=84 \cdots ②\)
①と②を連立させて、\(a_1=-46\) 、\(d=2\)
したがって、一般項は
\(a_n=-46+(n-1) \times 2\)
\(=2n-48\)
となります。
このように、直接的に初項や公差などの条件が与えられているような問題ではなく、少しステップを踏んで解いていく問題がよくあります。
ありがちな思考として、\(a_n\) を聞かれた場合、
\(a_n= \cdots \)
のように、最初から一気に答えを想定してしまうことがよくありますが、こういった具合に答えを求めることができる問題はほとんどありません。
数学において大事なことは、わかっている情報を使ってとりあえず何かの式を作ってみることです。
どの問題に取り組むときも、このことを忘れずに挑んでいきましょう。
( \(2\) )
こちらも( \(1\) ) 同様、未知数が \(2\) つ含まれる式を \(2\) 本作り、連立方程式で解いていきます。
等差数列の一般項が \(a_n=a_1+(n-1)d\) であることから、\(a_1\) と \(d\) がわかれば、一般項を定められます。
今回の条件が和に関するものなので、和の一般式を活用していきます。
第\(n\) 項までの和が \(S_n=\displaystyle \frac{1}{2}n(初項+末項)\) なので、
第 \(9\) 項までの和 \(\longrightarrow\) \(S_9=\displaystyle \frac{1}{2} \times 9 \times (a_1+a_9)\)
第 \(15\) 項までの和 \(\longrightarrow\) \(S_{15}=\displaystyle \frac{1}{2} \times 15 \times (a_1+a_{15})\)
そして、\(a_9\) と \(a_{15}\) がそれぞれ \(a_9=a_1+(9-1)d\) 、 \(a_{15}=a_1+(15-1)d\) なので、
\(S_9=\displaystyle \frac{1}{2} \times 9 \times \bigl\{ a_1+a_1+(9-1)d \bigr\}\)
\(=\displaystyle \frac{1}{2} \times 9 \times (2a_1+8d)\)
\(=9(a_1+4d)\)
\(S_{15}=\displaystyle \frac{1}{2} \times 15 \times \bigl\{ a_1+a_1+(15-1)d \bigr\}\)
\(=\displaystyle \frac{1}{2} \times 15 \times (2a_1+14d)\)
\(=15(a_1+7d)\)
ここで、 \(S_9=0\) 、\(S_{15}=90\) であることを考慮すると、
\(9(a_1+4d)=0\)
\(\longrightarrow\) \(a_1+4d=0\) \(\cdots\) ①
\(15(a_1+7d)=90\)
\(\longrightarrow\) \(a_1+7d=6\) \(\cdots\) ②
①と②の連立方程式によって、\(a_1=-8\) 、 \(d=2\) となります。
あとはこれらを等差数列の一般項に代入し、
\(a_n=-8+(n-1) \times 2\)
\(a_n=2n-10\)
おわりに
今回は、第 \(n\) 項や特定の区間の和の情報が \(2\) つ与えられている場合の等差数列の一般項を求める問題でした。
等差数列の問題が大丈夫な方は、次のステップに進みましょう。
さいごまで記事を読んでいただきありがとうございました!
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