数列の問題
\(1000\) 以下の自然数で、\(3\) の倍数であり、かつ、 \(5\) で割ったとき余りが\(2\) となる等差数列について、次の問いに答えなさい。
(\(1\))この自然数を小さい順に並べたときの初項、公差、項数を求めなさい。
(\(2\))この等差数列の総和を求めなさい。
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答案の例
(\(1\))
\(3\) の倍数で、かつ\(5\) で割ったときの余りが \(2\) の自然数を \(x\) とする。
\(x\) は \(3\) の倍数なので、自然数 \(m\) を用いて、
\(x=3m\)
また、\(5\) で割ったときの余りが \(2\) なので、自然数 \(n\) を用いて、\(x=5n+2\)
つまり、\(3m=5n+2\)
\(3m+3=5n+5\)
\(3(m+1)=5(n+1)\)
\(3\) と \(5\) は互いに素なので、\(m+1=5l\) (\(l\) は自然数)となる。
これにより、\(m=5l-1\) なので、\(x=3m=3(5l-1)=15l-3\)
よって、\(1 \leq 15l-3 \leq 1000\) により、\(l\) は自然数なので、\(1 \leq l \leq 66\)
つまり、初項は \(l=1\) の場合なので、\(12\)また、公差は \(15\) 、項数は \(66\)
(\(2\))
(\(1\))により、和は
\(\displaystyle \frac{1}{2} \times 66 \bigl\{ 2 \times 12+(66-1) \times 15 \bigr\} =32967\)
解説
( \(1\) )
今回の問題を解いていく鍵は、「互いに素」という考え方です。
これは、ある複数の数について、お互いに共通している約数が \(1\) しか存在しない、という意味の言葉です。
例えば今回の \(3\) と \(5\) であったり、\(7\) と\(12\) であったり。
「素」という言葉に引っ張られて素数を思い浮かべがちですが、一つひとつが素数である必要はなく、お互いに共通の約数が \(1\) しかないというところがポイントです。
この考え方の大きな役目の \(1\) つとして、 \(2\) つの条件を \(1\) つにまとめることができるというものがあります。
今回であれば、 \(3\) の倍数である、\(5\) で割ったときの余りが \(2\) であるという \(2\) つの条件を互いに素という考え方を使って、最終的に \(15l-3\) という条件にまとめました。
では、具体的に問題の解説をしていく中で、この考え方に触れていきましょう。
まず最初に、ある数 \(x\) について、 \(3\) の倍数であるという情報が与えられていますから、自然数 \(m\) を使って、\(x=3m\) と表現できますね。
\(m\) に \(1\) や \(2\) などの自然数を代入すれば、 \(3\) や \(6\) などの数が出てきますから、 \(3\) の倍数になっていることがわかります。
次に、 \(5\) で割ったときの余りが \(2\) という条件です。
例えば \(17\) が\(5\) で割ったときの余りが \(2\) になると思うのですが、この \(17\) という数は \(5\) や \(2\) を使ってどのように表現されるでしょうか?
答えは、\(17=5 \times 3+2\) ですね。
\(17\) であれば商が \(3\) になりますが、 \(x\) の場合は商がわからないので、仮に自然数 \(n\) を商とすると、\(x=5n+2\)と表現されます。
この際、先程の \(3\) の倍数を表現するときに使った \(m\) は使わないようにしましょう。なぜなら、 \(3m\) と \(5n+2\) は同じ \(x\) についての式ですから、\(3m=5n+2\) となるはずですね。
もし、どちらも同じ文字だった場合、
\(3m=5m+2\)
\(-2m=2\)
\(m=-1\)
となり、\(m\) に当てはまる数が \(1\) 通りだけになってしまうだけでなく、 \(m\) が自然数であることにも反することになってしまうからです。
さて、先にも触れた通り、\(3m\) と \(5n+2\) は同じ \(x\) についての式ですから、
\(3m=5n+2\)
となります。ここで、\(2=5-3\)なので、
\(3m=5n+5-3\)
\(3m+3=5n+5\)
\(3(m+1)=5(n+1)\)
と式変形できます。
なぜこのように無理やり式を変形したかというと、「\(3 \times 〇=5 \times △」の形を作りたかったからです。
このように式変形することが、互いに素という関係を使うときのキーポイントとなります。
簡単に説明するために、左辺の「\(3 \times 〇\)」に焦点を絞って一度見てみます。
\(3\) の倍数と\(5\) の倍数がイコールで結ばれているため、「\(3 \times 〇\)」は\(5\) の倍数になっていなければなりませんね。すなわち、 \(3\) か \(〇\) のどちらかは \(5\) で割れないとおかしいわけです。
しかし、\(3\) は \(5\) で割れませんから、〇が \(5\) で割れる数(\(5\) の倍数)になってくれないと式が成り立たないわけです。
よって、新たにある自然数を \(l\) とすると、
\(〇=5l\)
となるわけです。ここでの自然数も、以前の \(3\) の倍数を定めるときの \(m\) や \(5\) で割ったときの商である \(n\) とは独立した値をとるので、新しく \(l\) と設定します。
お気づきかもしれませんが、「\(5 \times △\)」の方に焦点を絞り、
\(△=3l\)
としても理屈が通っているので、最終結果は同じ答えになります。
以上のことを数学的に書くと、「\(3\) と \(5\) は互いに素なので、\(\cdots\)」のようになります。
さて、計算に戻りましょう。
\(3(m+1)=5(n+1)\)という式において、互いに素の関係を使うと、
\(m+1=5l\)
\(m=5l-1\)
となります。この\(m\) は、\(3\) の倍数であることと \(5\) で割った時に余りが \(2\) になるという \(2\) つの条件を考慮した式から見出された式なので、これら \(2\) つの条件を同時に満たしていることになります。
これを \(x=3m\) に代入すると、
\(x=3(5l-1)\)
\(x=15l-3\)
となりますね。先ほども言いましたが、この \(x\) は問題の条件を \(2\) つとも満たしているので、これが \(x\) の一般式になります。よって、初項は \(l=1\) のときの \(x=15-3=12\) 、公差は \(15\) となります。
また、 \(1\) 以上 \(1000\) 以下になるように \(l\) の値を調整していくと、\(1 \leq l \leq 66\)となるため、項数は \(66\) となります。
( \(2\) )
( \(1\) )で求めた初項、公差、項数を使って和の公式に当てはめると、
\(\displaystyle \frac{1}{2} \times 66 \bigl\{ 2 \times 12+(66-1) \times 15 \bigr\} \)
\(=32967\)
となります。( \(2\) )はおまけのような問題でしたね。
おわりに
今回は、倍数に関する情報が与えられているときの問題を扱いました。
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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