除法の性質
今回は、除法の商と余りに関する情報を使って、特定の式の余りを求める問題です。
余りに関する問題は、様々な入試問題をはじめ、学校の定期テストでもよく出てくる問題のジャンルです。多くの問題のパターンがあるので、すべてを網羅することは難しいですが、このジャンルの問題に特有の公式や考え方はありません。一つひとつ情報を整理していけば難しいことはないので、一緒に問題を通して見ていきましょう。
除法の性質に関する問題
\(a\) 、 \(b\) は整数とする。 \(a\) を \(7\) で割ると \(6\) 余り、\(b\) を \(7\) で割ると \(2\) 余るという。このとき、次の数を \(7\) で割ったときの余りを求めなさい。
(\(1\)) \(2a+5b\)
(\(2\)) \(ab-5\)
答案の例
(\(1\))\(2a+5b\)
\(m\) 、\(n\) を整数とすると、\(a\) 、\(b\) は
\(a=7m+6\) 、\(b=7n+2\)
のように表される。つまり、
\(2a+5b=2(7m+6)+5(7n+2)\)
\(=14m+12+35n+10\)
\(=14m+35n+21+1\)
\(=7(2m+5n+3)+1\)
よって、\(2a+5b\) を \(7\) で割ったときの余りは \(1\) となる。
(\(2\))\(ab-5\)
(\(1\))より、 \(a=7m+6\) 、\(b=7n+2\) とすると、
\(ab-5=(7m+6)(7n+2)-5\)
\(=49mn+14m+42n+12-5\)
\(=49mn+14m+42n+7\)
\(=7(7mn+2m+6n+1)\)
よって、\(ab-5\) を \(7\) で割ったときの余りはない( \(7\) で割り切れる)。
解説
(\(1\))\(2a+5b\)
まず、問題文に書かれた情報を整理しておきましょう。
\(a\) は \(7\) で割ると \(6\) 余るので、 \(m\) を商とすると、 \(a=7m+6\)のように表されますね。
これは、具体例を考えてみるとわかりやすいかもしれませんね。
\(7\) で割ると \(6\) 余る数には、例えば \(20\) などがあります。これらの数は、次のように式を作れば、等式が成立します。
\(20=7 \times 2+6\)
このときの商は \(2\) ですが、それは何を割るかによって決まるので、割る数が \(a\) の場合、商が確定しませんので \(m\) などのように文字で置くわけです。
次に、同じように \(b\) を式にしてみます。
\(b\) を \(7\) で割ったときの商を \(n\) とすると、 \(2\) 余るので \(b=7n+2\) となりますね。
これらの値を使い、\(2a+5b\) を整理してみます。
\(2a+5b=2(7m+6)+5(7n+2)\)
\(=14m+12+35n+10\)
\(=14m+35n+22\)
ここで、 \(7\) で割った時の余りを問われているので、次のいずれかの形に式を変形しなければなりません。
\(7 \times (整数)\)
\(7 \times (整数)+1\)
\(7 \times (整数)+2\)
\(7 \times (整数)+3\)
\(7 \times (整数)+4\)
\(7 \times (整数)+5\)
\(7 \times (整数)+6\)
そこで、先程の式の \(14m+35n+22\) に関して、 \(7\) でくくれる部分はくくっていくと、
\(7(2m+5n)+22\) \(\cdots\)①
となりますね。
しかし、これは上のどのパターンにも当てはまっていません。それもそのはずです。この式は \(7\) で割ると商が \(2m+5n\) で余りが \(22\) ということになります。
商に関しては、 \(m\) と \(n\) はそれぞれ \(a\) と \(b\) の商なので、整数の値を取ります。よって、\(m\) や \(n\) を整数倍したものや、それらの和は整数になりますので、ここについては問題ありません。
余りが \(22\) という部分に問題があります。
\(22\) はまだ \(7\) で割ることができるので、その場合の余りは、
\(22=7 \times 3+1\)
により、 \(1\) ということになります。
つまり、\(22\) を①に代入して再度整理すると、
\(7(2m+5n)+7 \times 3+1\)
\(=7(2m+5n+3)+1\)
となりますね。これにより、余りは \(1\) になることがわかります。
(\(2\))\(ab-5\)
基本的な考え方は(\(1\))と同じです。
\(ab-5=(7m+6)(7n+2)-5\)
\(=49mn+14m+42n+12-5\)
\(=49mn+14m+42n+7\)
\(=7(7mn+2m+6n+1)\)
\(7mn+2m+6n+1\) は、先程の考え方と同じようにすれば、整数であることがわかります。つまり、この式は \(7 \times (整数)\) ということになるため、余りは存在しません。つまり、余り \(0\) ということになります。
数学において、どの分野でも大事なことは、文章を正しく式に表すことです。あとは単純な式変形になることが多いので、最初が肝心なのです。
おわりに
さいごまで記事を読んでいただきありがとうございました!
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