無限級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} a_n\) の和
\(\longleftrightarrow\) 部分和 \(S_n=\displaystyle\sum_{k=1}^n a_k\) の極限値
無限級数
今回は無限級数についての問題を扱います!
基本的な公式とその解説を載せていますので、公式を確認した上で例題を解いてみてください。
無限級数
\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} a_n=a_1+a_2+\cdots +a_n+\cdots \) \(\cdots\) (A)
について、部分和
\(S_n=a_1+a_2+\cdots +a_n\)
の数列
\(\{S_n\}\):\(S_1\), \(S_2\), \(\cdots\), \(S_n\), \(\cdots\)
が収束して、\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}=S\) のとき、無限級数 (A) は収束して和は \(S\) である。また、数列 \(\{S_n\}\) が発散するとき、無限級数 (A) は発散する。
解説
無限数列 \(\{a_n\}\) において、各項を前から順に記号 \(+\) で結んで得られる式 [(A) の右辺] を無限級数といい、\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} a_n\) とも書く。また、 \(a_1\) をその初項、\(a_n\) を第 \(n\) 項といい、数列 \(\{a_n\}\) の初項から第 \(n\) 項までの和 \(S_n\) を、第 \(n\) 項までの部分和という。そして、無限級数の収束・発散を上のように定義する。
例)収束する無限級数
\(\displaystyle\sum_{n=1}^\infty\frac{1}{n(n+1)}=\frac{1}{1\cdot 2}+\frac{1}{2\cdot 3}+\frac{1}{3\cdot 4}\cdots +\frac{1}{n(n+1)}+\cdots \)
第 \(n\) 項までの部分和を \(S_n\) とする。
\(\displaystyle\frac{1}{k(k+1)}=\frac{1}{k}-\frac{1}{k+1}\) から
\(S_n=\displaystyle\sum_{k=1}^n\frac{1}{k(k+1)}=\big(1-\frac{1}{2}\big)+\big(\frac{1}{2}-\frac{1}{3}\big)+\cdots +\big(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}\big)=1-\frac{1}{n+1}\)
よって、\(\displaystyle\lim_{n\to\infty} S_n=\lim_{n\to\infty}\big(1-\frac{1}{n+1}\big)=1\)
ゆえに、この無限級数は収束して、和は \(1\)
例)発散する無限級数
\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} n=1+2+3+ \cdots +n+\cdots \)
第 \(n\) 項までの部分和を \(S_n\) とすると、
\(S_n=\displaystyle\frac{1}{2} n(n+1)\) であるから、数列 \(\{S_n\}\) は発散する。
よって、この無限級数は発散する。
無限級数の収束・発散条件
① 無限級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} a_n\) が収束する
\(\longleftrightarrow\) \(\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n=0\)
② 数列 \(\{a_n\}\) が \(0\) に収束しない
\(\longleftrightarrow\) \(\displaystyle\lim_{n=1}^{\infty} a_n\) は発散する。
※ ② は ① の対偶である。また、①、② とも逆は成立しない。
解説
① の証明 \(a_n=S_n-S_{n-1}\) \((n\geq 2)\) であり、
\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} a_n=S\) とすると、
\(\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n=\lim_{n\to\infty} (S_n-S_{n-1})=\lim_{n\to\infty} S_n-\lim_{n\to\infty} S_{n-1}=S-S-0\)
② は ① の対偶であるから成り立つ。なお、①、②ともに逆は成立しない。
例えば、数列 \(\big\{\displaystyle\frac{1}{n}\big\}\) は \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{1}{n}=0\) であるが、\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n}=\infty\) である。
無限級数の問題
次の無限級数の収束、発散んいついて調べ、収束すればその和を求めよ。
(1) \(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{(2n+1)(2n+3)}\)
(2) \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1}+\sqrt{3}}+\frac{1}{\sqrt{2}+\sqrt{4}}+\frac{1}{\sqrt{3}+\sqrt{5}}+\cdots\)
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(解説)
第 \(n\) 項 \(a_n\) までの部分和を \(S_n\) とする。
(1) \(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{(2n+1)(2n+3)}\)
\(a_n=\displaystyle\frac{1}{(2n+1)(2n+3)}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}\big(\frac{1}{2n+1}-\frac{1}{2n+3}\big)\) であるから、
部分分数分解
\(a\neq b\) のとき、
\(\displaystyle\frac{1}{(n+a)(n+b)}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{b-a}\big(\frac{1}{n+a}-\frac{1}{n+b}\big)\)
\(S_n=\displaystyle\frac{1}{2}\big\{\big(\frac{1}{3}-\frac{1}{5}\big)+\big(\frac{1}{5}-\frac{1}{7}\big)+\cdots +\big(\frac{1}{2n+1}-\frac{1}{2n+3}\big)\big\}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}\big(\frac{1}{3}-\frac{1}{2n+3}\big)\)
よって、\(\displaystyle\lim_{n\to\infty} S_n=\frac{1}{2}\cdot \frac{1}{3}=\frac{1}{6}\)
(2) \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1}+\sqrt{3}}+\frac{1}{\sqrt{2}+\sqrt{4}}+\frac{1}{\sqrt{3}+\sqrt{5}}+\cdots\)
\(a_n=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}+\sqrt{n+2}}=\frac{\sqrt{n+2}-\sqrt{n}}{(n+2)-n}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}(\sqrt{n+2}-\sqrt{n})\)
であるから、
\(S_n=\displaystyle\frac{1}{2}\{(\sqrt{3}-\sqrt{1})+(\sqrt{4}-\sqrt{2})+\cdots\)
\(+(\sqrt{n+1}-\sqrt{n-1})+(\sqrt{n+2}-\sqrt{n})\}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}(\sqrt{n+1}+\sqrt{n+2}-1-\sqrt{2})\)
よって \(\displaystyle\lim_{n\to\infty} S_n=\infty\)
ゆえに、この無限級数は発散する。
おわりに
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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