① 期待値 \(E(aX+b)=aE(X)+b\)
② 分散 \(V(aX+b)=a^2 V(X)\)
③ 標準偏差 \(\sigma (aX+b)=|a|\sigma(X)\)
確率変数 \(X\) において、\(a\), \(b\) を定数としたとき、\(Y=aX+b\) と定めると、\(Y\) も確率変数となります。このように、ある確率変数から別の確率変数を作ることを、確率変数の変換といいます。今回は、確率変数の変換を用いた問題とその解説も載せております!
確率変数の変換
① 期待値 \(E(aX+b)=aE(X)+b\)
② 分散 \(V(aX+b)=a^2 V(X)\)
③ 標準偏差 \(\sigma (aX+b)=|a|\sigma(X)\)
期待値、分散と標準偏差の公式
期待値
\(E(X)=x_1p_1+x_2p_2+\cdots +x_np_n\)
分散
\(E(X)=m\) とすると、
分散 \(V(X)=E((X-m)^2)\)
\(=(x_1-m)^2p_1+(x_2-m)^2p_2+\cdots +(x_n-m)^2p_n\)
\(=\displaystyle\sum_{k=1}^n(x_k-m)^2p_n\)
\(=E(X^2)-\{E(X)\}^2\)
標準偏差
\(\sigma (X)=\sqrt{V(X)}\)
表のような確率分布に従う確率変数 \(X\) を考える。
\(X\) | \(x_1\) | \(x_2\) | \(\cdots\) | \(x_n\) | 計 |
\(P\) | \(p_1\) | \(p_2\) | \(\cdots\) | \(p_n\) | \(1\) |
\(a\), \(b\) が定数のとき、\(X\) の \(1\) 次式 \(Y=aX+b\) で \(Y\) を定めると、\(Y\) もまた確率変数になる。\(Y\) のとる値は、
\(y_k=ax_k+b\) (\(k=1, 2, \cdots, n\) )
である。\(X\) に対して、上のような \(Y\) を考えることを確率変数の変換という。
(証明)
① \(E(Y)=\displaystyle\sum_{k=1}^n y_k p_k\)
\(=\displaystyle\sum_{k=1}^n (ax_k+b)p_k=a\sum_{k=1}^n x_kp_k+b\sum_{k=1}^n p_k\)
\(=aE(X)+b\)
② \(V(Y)=\displaystyle\sum_{k=1}^n \{y_k-E(Y)\}^2 p_k\) であり、
\(y_k-E(Y)=(ax_k+b)-\{aE(X)+b\}=a\{x_k-E(X)\}\)
ゆえに、\(V(Y)=a^2\displaystyle\sum_{k=1}^n\{x_k-E(X)\}^2 p_k=a^2 V(X)\)
③ \(\sigma (Y)=\sqrt{V(Y)}=\sqrt{a^2V(X)}\)
\(=|a|\sqrt{V(X)}=|a|\sigma (X)\)
※ ②, ③ の式からわかるように、確率変数 \(X\) に対して \(Y=aX+b\) と変換しても、定数 \(b\) は分散や標準偏差に影響を与えない。
確率変数の変換の問題
袋の中に赤玉が \(4\) 個、白玉が \(6\) 個入っている。この袋の中から同時に \(4\) 個の球を取り出すとき、赤玉の個数を \(X\) とする。確率変数 \(2X+3\) の期待値 \(E(2X+3)\) と分散 \(V(2X+3)\) 、標準偏差 \(\sigma (2X+3)\) を求めよ。
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解説
確率変数 \(X\) のとりうる値は、\(X=0\), \(1\), \(2\), \(3\), \(4\) であり
(a) 赤玉を \(4\) 個取り出すとき
\(P(X=0)=\displaystyle\frac{{}_6C_4}{{}_10C_4}=\frac{15}{210}\)
(b) 赤玉を \(3\) 個、白玉を \(1\) 個取り出すとき
\(P(X=1)=\displaystyle\frac{{}_4C_1\cdot {}_6C_3}{{}_10C_4}=\frac{80}{210}\)
(c) 赤玉を \(2\) 個、白玉を \(2\) 個取り出すとき
\(P(X=0)=\displaystyle\frac{{}_4C_2\cdot {}_6C_2}{{}_10C_4}=\frac{90}{210}\)
(c) 赤玉を \(1\) 個、白玉を \(3\) 個取り出すとき
\(P(X=0)=\displaystyle\frac{{}_4C_3\cdot {}_6C_1}{{}_10C_4}=\frac{24}{210}\)
(d) 白玉を \(4\) 個取り出すとき
\(P(X=0)=\displaystyle\frac{{}_4C_4}{{}_10C_4}=\frac{1}{210}\)
\(X\) | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 計 |
\(P\) | \(\displaystyle\frac{15}{210}\) | \(\displaystyle\frac{80}{210}\) | \(\displaystyle\frac{90}{210}\) | \(\displaystyle\frac{24}{210}\) | \(\displaystyle\frac{1}{210}\) | 1 |
\(E(X)=1\cdot\displaystyle\frac{80}{210}+2\cdot\frac{90}{210}+3\cdot\frac{24}{210}+4\cdot\frac{1}{210}=\frac{8}{5}\)
\(V(X)=\big(1^2\cdot\displaystyle\frac{80}{210}+2^2\cdot\frac{90}{210}+3^2\cdot\frac{24}{310}+4^2\cdot\frac{1}{210}\big)-\big(\frac{8}{5}\big)^2\)
\(=\displaystyle\frac{16}{5}-\big(\frac{8}{5}\big)^2=\frac{16}{25}\)
\(\sigma(X)=\sqrt{\displaystyle\frac{16}{25}}=\frac{4}{5}\)
したがって、
\(E(2X+3)=2E(X)+3=2\cdot\displaystyle\frac{8}{5}+3=\frac{31}{5}\)
\(V(2X+3)=2^2V(X)=4\cdot\displaystyle\frac{16}{25}=\frac{64}{25}\)
\(\sigma(2X+3)=2\sigma(X)=2\cdot\displaystyle\frac{4}{5}=\frac{8}{5}\)
おわりに
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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