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【式と証明】『不等式の証明』絶対値を含む不等式の証明

目次

データアナリストへの道

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絶対値を含む不等式の証明

今回は絶対値を含む不等式の証明です。

絶対値とは、 \(0\) からの距離のことを指します。距離を負の数で表すことがないため、絶対値がついた実数には、負の数がありません。

つまり、 \(a\) という実数について、以下のことが成り立ちます。
\(|a| \geq 0\) 、 \(|a| \geq a\) 、 \(|a| \geq -a\)
絶対値がつくと、もとの数より必ず大きくなるわけですね。

これを利用し不等式を証明していきます!

不等式の証明(問題)

次の不等式を証明しなさい。また、等号が成り立つのはどのような場合か調べなさい。
  \(|a|+|b| \geq |a+b|\)

答案の例

両辺の平方の差を考え、

\((|a|+|b|)^2-|a+b|^2\)
\(=|a|^2+2|a||b|+|b|^2-(a+b)^2\)
\(=a^2+2|ab|+b^2-(a^2+2ab+b^2)\)
\(=2(|ab|-ab) \geq 0\)

つまり、\((|a|+|b|)^2 \geq |a+b|^2\)

\(|a|+|b| \geq 0\)、\(|a+b| \geq 0\)より、\(|a|+|b| \geq |a+b|\)

また、等号成立は、\(|ab|=ab\)のとき。つまり、 \(ab \geq 0\)のとき。

解説

「 絶対値の意味は分かるけど、 \(2\) 乗するとどうなるの?」
「今までと同じように扱っていいの?」
こういった疑問に辿り着ければ、あなたは数学の力があります。

間違った過程を通らないために、絶対値がある場合にできることを正確に把握することはとても重要です。

その一部は上記で紹介しました。
\(|a| \geq 0 \cdots ①\)
\(|a| \geq a \cdots ②\)
\(|a| \geq -a \cdots ③\)

これらの他にも、次のような性質もあります。

④ \(|a|^2=a^2\)
 例\(1\)・・・\(a=3\) のとき、\(|3|=3\) なので、\(|3|^2=3^2\)
 例\(2\)・・・\(a=-3\) のとき、\(|-3|=3\) なので、\(|3|^2=3^2\)

⑤ \(|ab|=|a||b|\)
 例\(1\)・・・\(a=2,b=3\)のとき、\(ab=6\)
     よって、\(|ab|=|6|=6\)
         \(|a||b|=|2||3|=2 \times 3=6\)
 例\(2\)・・・\(a=-2,b=3\)のとき、\(ab=-6\)
     よって、\(|ab|=|-6|=6\)
         \(|a||b|=|-2||3|=2 \times 3=6\)

絶対値は、 \(0\) からの距離という認識だけなら簡単ですが、式に含まれるとどのように処理していいかわかりにくいですよね。
また、一つひとつの性質が紛らわしく見えるのも、混乱を招く要因ですね。

さて、ではこれらを使って、絶対値が含まれた不等式を証明していきます。

根号が含まれた不等式と同じく、ひとまず \(2\) 乗して考えていきます。

\((|a|+|b|)^2\)
\(=|a|^2+2|a||b|+|b|^2\)
\(=a^2+2|ab|+b^2 \longrightarrow \)④と⑤を使用

\(|a+b|^2\)
\(=(a+b)^2 \longrightarrow \)④を使用
\(=a^2+2ab+b^2\)

今回、両辺に絶対値がついている数しか含まれておらず、左辺についても加法なので、両辺が正の数であることは明白です。
つまり、 \(2\) 乗しても大小関係は変わりません。

では、大きい方から小さい方を引く方法を試してみましょう。不等式の証明での王道パターンですね。

\((|a|+|b|)^2-|a+b|^2\)
\(=a^2+2|ab|+b^2-(a^2+2ab+b^2)\)
\(=2(|ab|-ab)\)

\(|ab|\) と \(ab\) は、②により、 \(|ab|\) の方が大きいことがわかります。つまり、\(2(|ab|-ab) \geq0 \)

これにより、\((|a|+|b|)^2 \geq |a+b|^2\) ということがわかりますね。
ここで、等号成立の場合も求めておきます。
\(2(|ab|-ab) \geq0 \) より、イコールになる場合は、\(|ab|=ab \) のときです。
絶対値が付いている時と付いていない時で、値が同じになるということは、絶対値の中身が正の数であるということですね。
よって、\(ab \geq 0\)のときに、等号が成立することになります。

さて、最後の締めです。

\(|a|+|b| \geq 0\)、\(|a+b| \geq 0\)なので、\(|a|+|b| \geq |a+b|\)が成り立つことになります。

絶対値が付いていても、 \(2\) 乗したり、大きい方から小さい方を引いたり、不等式の証明に必要な基本知識は変わらないわけですね。

おわりに

さいごまで読んでいただきありがとうございました!

このブログは統計学を学びたい学生/社会人向けに記事を書いています。

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