等差数列と等比数列
今回は等差数列と等比数列をどちらも使用する問題です。
どちらの考えも使いますが、同時に考える場面はありません。一つひとつの条件を式にしていき、あとは出来上がった式を工夫して答えを導くだけです。
実際に問題を見ていきましょう。
等差数列
等比数列
等差数列と等比数列を組み合わせた問題
等差数列 \(a_1\) 、 \(a_2\) 、 \(a_3\) と等比数列 \(b_1\) 、 \(b_2\) 、 \(b_3\) 、 \(b_4\) において、 \(2\) つの数列の初項、末項および和がそれぞれ等しい。
このとき、等比数列の公比を求めなさい。
答案の例
等差数列の初項を \(a\) 、公差を \(d\) 、等比数列の公比を \(r\) とすると、条件より、
\(a_1=b_1=a\), \(a_3=b_4=a+2d\), \(b_4=ar^3\)
ゆえに、\(a+2d=ar^3\) よって、 \(2d=a(r^3-1) \cdots \) ①
また、\(a+(a+d)+(a+2d)=a(1+r+r^2+r^3)\) つまり、\(3(a+d)=a(1+r)(1+r^2)\)
両辺を \(2\) 倍し、 \(6(a+d)=2a(1+r)(1+r^2)\)
①を代入し、 \(6a+3a(r^3-1)=2a(1+r)(1+r^2)\)
整理すると、 \(a(r+1)(r^2-3r+1)=0\)
ゆえに、 \(a=0\) または \(r+1=0\) または \(r^2-3r+1=0\)
\(a=0\) のとき、①より \(d=0\) 。このとき、 \(r\) は任意。
以上より、\(a_1=b_1=0\) のとき、\(r\) は任意
\(a_1=b_1 \neq 0\) のとき、 \(r=-1\) 、 \( \displaystyle \frac{3 \pm \sqrt{5}}{2}\)
解説
等差数列と等比数列をどちらも使うとはいえ、今回の問題はどちらかといえば後半の式変形の方が複雑かもしれません。
まず、問題の条件を式にしていきましょう。
等差数列の初項を \(a\) 、公差を \(d\) 、等比数列の公比を \(r\) とすると、初項が等しいので、\(a_1=b_1=a\)
次に、末項が等しいので、\(a_3=b_4=a+2d \cdots \) ①
等比数列の末項は \(b_4=ar^3\) と表わせるので、①と組み合わせて、
\(a+2d=ar^3\)
\(2d=ar^3-a\)
\(2d=a(r^3-1) \cdots \) ②
この式は、初項と末項の条件を組み合わせてできたものです。あと残っている条件は、和に関するものですね。和が等しいので、
\(a+(a+d)+(a+2d)=a+ar+ar^2+ar^3\)
\(3a+3d=a(1+r+r^2+r^3) \cdots \) ③
ここで、②により \(d=\displaystyle \frac{a(r^3-1)}{2}\) として③の \(d\) に代入するのもいいですが、分数が出てきて計算が厄介になりますね。
そこで、③の式中に \(2d\) を無理やり作り、②を変形せずに代入することで、分数が入ることを避けます。
③の両辺を \(2\) 倍し、
\(6a+6d=2a(1+r+r^2+r^3)\)
\(6a+3 \times 2d=2a(1+r+r^2+r^3)\)
ここで②を代入し、
\(6a+3 \times a(r^3-1)=2a(1+r+r^2+r^3)\)
\(6a+3ar^3-3a=2a(1+r+r^2+r^3)\)
\(3ar^3+3a=2a(1+r+r^2+r^3) \cdots \) ④
ここで、④の式変形について考えます。左辺は \(3a(r^3+1)\) 、 右辺の \(1+r+r^2+r^3\) については
\(1+r+r^2+r^3=0 \cdots \) ⑤
とすると、\(r=-1\) を解にもっているため、 \((r+1)(r+X)=0\) と因数分解できるはずですね。この式の展開式と⑤について、左辺が等しくなっていなければならないため、
\((r+1)(r+X)=1+r+r^2+r^3\)
\(r+r^2+X+rX=1+r+r^2+r^3\)
\(X+rX=1+r^3\)
\((1+r)X=(1+r)(1-r+r^2)\)
よって両辺を比較し、\(X=1-r+r^2\) であることがわかりますね。つまり④に出てくる \(1+r+r^2+r^3\) は、
\((r+1)(r+X)\)
\((r+1)(r+1-r+r^2)\)
\((r+1)(1+r^2)\)
と因数分解できることになります。これにより、④を整理すると、
\(3ar^3+3a=2a(1+r+r^2+r^3)\)
\(3a(r^3+1)=2a(r+1)(1+r^2)\)
\(3a(r+1)(r^2-r+1)=2a(r+1)(1+r^2)\)
\(3a(r+1)(r^2-r+1)-2a(r+1)(1+r^2)=0\)
\(a(r+1) \bigl\{3(r^2-r+1)-2(1+r^2) \bigr\}=0\)
\(a(r+1)(r^2-3r+1)=0 \cdots \) ⑥
となります。 \(a^3 \pm b^3=(a \pm b)(a^2 \mp ab+b^2)\) という因数分解の公式を使うところ、\((1+r+r^2+r^3)=(r+1)(1+r^2)\) を導く過程など、複雑な思考が少し含まれるので、⑥の式までたどり着くのに時間はかかるかもしれませんね。
あとは最後に答えをまとめるだけです。
この式は、 \(a\) と \((r+1)\) と \((r^2-3r+1)\) の積なので、それぞれが \(0\) になる可能性を考えます。
まず、 \(a=0\) のときは、等差数列の初項が \(0\) であると同時に、等比数列の初項も \(0\) になるということですね。
この場合、 \(r\) がどんな値であろうと、数列のすべての項が \(0\) になります。
よって、 \(r\) は任意となるわけです。
次に、 \((r+1)=0\) のときは、 \(r=-1\) ですね。
最後に、 \((r^2-3r+1)=0\) のときは、解の公式を使い、 \(r=\displaystyle \frac{3 \pm \sqrt{9-4}}{2} = \displaystyle \frac{3 \pm \sqrt{5}}{2}\) となります。
おわりに
さいごまで記事を読んでいただきありがとうございました!
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