背理法を用いた証明
今回は、背理法を用いた証明問題です。
証明問題は苦手な方が多いと思います。しかし、高校数学の証明問題は細かいことは気にせずに、最初のうちはパターン化して覚えてしまうのが意外と近道な場合があります。パターン化させて機械的に解いていると、知らないうちに理解できているものです。
背理法
ある命題 \(X\) に対し、\(X\) が成り立たないと仮定して、矛盾を導くことにより、\(X\) が成り立つことを示す証明法のことをいう。
背理法の例
「〜である」 →「〜でない」と仮定する。
「無理数である。」→「有理数である。」と仮定する。
「\(=\)」 →「\(\neq\)」と仮定する。
背理法の問題
\(\sqrt{5}+\sqrt{7}\) は無理数であることを証明せよ。ただし、\(\sqrt{7}\) は無理数であることは知られているものとする。
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答案の例
\(\sqrt{5}+\sqrt{7}\) は有理数であると仮定する。
\(\sqrt{5}+\sqrt{7}=r\)とおく。
\begin{eqnarray} \sqrt{5}&=&r-\sqrt{7}\\ 5&=&r^2-2r\sqrt{7}+7\\ 2r\sqrt{7}&=&r^2+2\\ \sqrt{7}&=&\displaystyle\frac{r^2+2}{2r} \end{eqnarray}\(r\) は有理数より、\(2r\) と \(r^2+2\) も共に有理数となる。
よって、\(\displaystyle\frac{r^2+2}{2r}\) は有理数となり、左辺の \(\sqrt{7}\) も有理数となる。
これは \(\sqrt{7}\) が無理数であることに矛盾する。したがって、\(\sqrt{5}+\sqrt{7}\) は無理数である。
解説
題意が成り立たないと仮定する。
つまり、「\(\sqrt{5}+\sqrt{7}\) は無理数でない(有理数である)」と仮定する。
与式を文字に置く
\(\sqrt{5}+\sqrt{7}=r\) とおく。
\(\sqrt{5}+\sqrt{7}\) は有理数であると仮定しているので、\(r\) も有理数
\(\sqrt{5}=r-\sqrt{7}\)
両辺を2乘すると、
\(5=r^2-2r\sqrt{7}+7\)
\(2r\sqrt{7}=r^2+2\)
\(\sqrt{7}=\displaystyle\frac{r^2+2}{2r}\)
矛盾を見つける。
\(\sqrt{7}=\displaystyle\frac{r^2+2}{2r}\) について
\(r\) は有理数より、\(2r\) と \(r^2+2\) も共に有理数となる。
よって、\(\displaystyle\frac{r^2+2}{2r}\)は有理数となり、左辺の \(\sqrt{7}\) も有理数となる。
これは \(\sqrt{7}\) が無理数であることに矛盾する。
※ 問題文に「 \(\sqrt{7}\) は無理数である」ということは明記されている。
したがって、\(\sqrt{5}+\sqrt{7}\) は無理数である。
おわりに
今回は、背理法を用いた証明問題でした。
証明問題は難しいですが、細かいことは考えずに、
「無理数もしくは有理数が含まれた証明問題には背理法を使用する。」
とパターン化させてしまっても良いかもしれません。
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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