階差数列
今回は階差数列の一般項を求める問題です。
階差数列の問題は、数列の規則性が簡単に見つけられないものが多いです。この時点で数学が苦手な人にとっては、解く意欲をそがれますよね…しかし、どんな時であれ数列の分野で大切なことは、規則性をどのようにして見つけるかです。逆に言えば、規則性の見つけ方を知っておけば、ある方法でつまずいても、別の方法でその数列の正体を見破ることができるわけです。
具体的に問題を解説する中で、ポイントをおさえていきましょう。
階差数列を利用した一般項の公式
\(a_n\) の階差数列を \(b_n\) とすると、\(b_k=a_{k+1}-a_k\)であり、
\(n\geq2\)のとき、
\(a_n=a_1+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}b_n\)
\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1} の部分の解説はこちら
階差数列は、もとの数列の各項の差を調べて、それらを並べた数列(\(b_n\))のことを言います。上記の \(a_{k+1}-a_k\) の部分で \(k\) という文字が使われているのは、\(n\) という文字が一般項を求めるときにすでに使われているためです。表す意味は \(n\) と同じく、ランダムに項を選ぶということです。公式は最もスマートな形で書かれているので、これだけを見て理解しようとするのはかなり大変です。問題を解説する中で具体的に使って慣れていきましょう。また、上記の公式を使う場合は、注意しなければいけないことが \(1\) つあります。
「 \(n\geq2\) のとき、」
という条件が付いているということです。つまり、一般項は \(1\) 番目にも当てはまるように求めることが基本なので、\(n=1\) の場合を個別にチェックする必要があります。
この点も含めて、実際に問題の解説をみていきましょう!
階差数列の問題
次の数列の一般項 \(a_n\) を求めなさい。
\(2\), \(7\), \(18\), \(35\), \(58\), \(\cdots\)
>>詳細はこちらから
階差数列の問題(答案の例)
\(a_2-a_1=5\)
\(a_3-a_2=11\)
\(a_4-a_3=17\)
と続き、\(5\), \(11\), \(17\), \(\cdots\)を \(b_n\) とおくと、
\(b_n=5+(n-1)\cdot 6\)
\(=5+6n-6\)
\(=6n-1\)
よって、
\(a_n=a_1+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}b_n\) より
\(=2+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1} (6n-1)\)
\(=2+6\cdot \displaystyle \frac{1}{2}\cdot(n-1)\cdot n-(n-1)\)
\(=2+3n^2-3n-n+1\)
\(=3n^2-4n+3\)
\(n=1\) のとき \(a_1=2\) となる。
したがって、\(a_n=3n^2-4n+3\)
階差数列の問題(解説)
基本的に数列の問題を解く場合、次のことを意識するところから回答がスタートします。
「与えられている数の列は、何が足されているのか(引かれているのか)or何が掛けられているのか(割られているのか)」
足されていた(引かれていた)場合は等差数列、掛けられていた(割られていた)場合は等比数列となりますね。そして、もとの数列に関してこのどちらにもあてはまらない場合、別の方法を考える必要性が生じるわけです。そこで考える新しい方法として今回紹介するものが、足されている数を横並びにして新しい数列を作り、その列に関してもう一度同じことをチェックしてみるという方法です。
今回与えられている数列は、わかっている項だけ並べると、
\(2\), \(7\), \(18\), \(35\), \(58\)
のようになりますね。そしてこの列の特徴を調べると、
\(2\) から \(7\) へは \(+5\)
\(7\) から \(18\) へは \(+11\)
\(18\) から \(35\) へは \(+17\)
\(35\) から \(58\) へは \(+23\)
だけ足されています。足されている数が一定ではないので、今度はこれらを列にした
\(5\), \(11\), \(17\), \(23\), \(\cdots\)
(「\(\cdots\)」は、今後も同じようにして差を求めて項を作っていくという意味です)
という数列を考え、再び差を見てみるわけです。このような差を並べた数列のことを階差数列と言い、これからこの階差数列の規則性を探っていきます。そうすると、次の項へ移るにつれて、 \(+6\) されているという規則性を持っていることがわかりますね。よって、この階差数列には、
「初項 \(5\) 、公差 \(6\) の等差数列になる」
という特徴があることがわかると思います。つまり、今回の階差数列を仮に \(b_n\) とすると、等差数列の公式により、
\(b_n=5+6(n-1)\)
\(=6n-1\)
のように \(b_n\) を求めることができます。これにより、もとの数列 \(a_n\) は、
\(a_n=2+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}(6k-1)\)
\(=2+6\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}k-\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}1\)
\(=2+6\cdot \displaystyle \frac{1}{2}n(n-1)-\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}1\)
※項数が \(n-1\) なので、シグマの公式の \(n\) の部分が \(n-1\) に変わっているため、このようになっています
\(=2+6\cdot \displaystyle \frac{1}{2}n(n-1)-(n-1)\)
※ \(1\) を \(n-1\) 回足し合わせるという意味なので、このようになっています
\(=3n^2-4n+3\)
となります。そして、上記で説明している通り、この \(a_n\) は \(n\geq\) のときに成り立っているので、 \(n=1\) の場合を個別に確かめなければなりません。\(n=1\) の場合、
\(a_1=3\cdot 1^2-4\cdot 1+3=2\)
となるので、もとの数列の初項と一致することがわかりますね。これにより、さっき求めた \(a_n=3n^2-4n+3\) は、\(n=1\) の場合にも当てはまるという結果を得ました。ここまで行って、この問題の回答は終了となるので、最後の詰めを忘れないようにしましょう。
おわりに
今回は、階差数列の一般項を求める問題でした。
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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