奇数が並ぶ群数列
この範囲には、特に特有の公式はありません。今までの等差、等比、階差、シグマなどの知識を活用して解いていく、いわばちょっとした応用問題となります。しかし、応用問題というのは、大抵の場合解き方が複数通り存在しています。多くのアプローチの方法を知っておくことは、様々な応用問題を解く際にとても役に立ちます。今回の問題でも、複数通りの解き方を紹介するので、色々な方法を考察していきましょう。理解できない解き方ももちろんあるかと思いますので、そういった場合は、理解できるものから確実に身に着けていきましょう。
まず、群数列とは何か、というところからスタートしましょう。以下の数列を使って考えていきます。
この数列は、正の整数が並んでいるだけに見えるかもしれませんが、よく見ると、
が つ
が つ
が つ
が つ
のように並んでいるのがわかるかと思います。そこで、次のように数列を区切って見てみます。
このようにして見ると、規則性が分かりやすいですね。数列を上記のように区切って考えたとき、
(最初のかたまり)を第 群
( つ目のかたまり)を第 群
( つ目のかたまり)を第 群
( つ目のかたまり)を第 群
のように表現します。このように、数列 をある規則に従っていくつかの群に分けて考えるとき、これを群数列と言います。
では、この群数列について、具体的な問題を見ていきましょう。
群数列の例題
奇数の列(奇数列)を
のように、第 群が 個の数を含むように分けるとき、
()第 群の最初の奇数を求めなさい。
()第 群の総和を求めなさい。
答案の例
()第 群の最初の奇数を求めなさい。
各群の最初の奇数は階差数列になっている。各群の最初の奇数を並べた数列を 、そこから得られた階差数列を とすると、
よって、
( のときも成り立つ)
※解説の解き方の②を使用
()第 群の総和を求めなさい。
第 群の初項は()により、
第 群の末項は、第 群の初項から を引けばいいため、
さらに項数は であるため、
※解説の解き方の②を使用
解説
()第 群の最初の奇数を求めなさい。
<解き方①:第 群までに奇数が何個使われているのかを考える>
まず、いきなり第 群について考えると混乱してしまう可能性があるので、例えば「第 群の最初の奇数」から考えて、イメージを掴んでいきましょう。
第 群の最初の奇数は、問題で与えられている通り、 ですね。これは奇数列で考えると 番目の奇数となります。
( という列の 番目が になっていますね)
では、この 番目という番号は、どのように求めているのでしょうか?今回の例では見ただけですぐにわかりますが、第 群について今後考えていくことを考慮し、規則性を見つけていきます。第 群の最初の奇数を知りたい場合は、第 群までに奇数が何個使われているかを考えます。つまり、 の 個です。第 群までに奇数が 個あるのであれば、第 群の最初の奇数は、それに を加えた 番目の奇数ということになりますね。同様に、例えば第 群までには 個の奇数が使われていますので、第 群の最初の奇数であれば、それに を加えた 番目の奇数を求めればいいということになります。これらのことをまとめると、ある群の最初の数が何番目なのかを知りたい場合は、 つ手前までの群で使われている数の合計に をすればいいということになります。
さて、では今回の問題である、「第 群の最初の奇数」が奇数列での何番目なのかを知りたい場合は、どう考えればよいのでしょうか?
第 群の つ手前の群とは、第 群ということになります。まずはこの群までにいくつ奇数が使われているかを考えるのです。
第 群には奇数は 個、
第 群には奇数は 個、
第 群には奇数は 個、
第 群には奇数は 個
使われていますので、それらの合計は、
となります。
項数が であれば、 でしたが、今回は項数が なので、この式の の部分が となり、
となります。これが第 群までに使われている奇数の合計なので、第 群の最初の奇数は、奇数列での番目の数ということになります。また今回、奇数は からスタートしていますので、一般的な奇数の表し方は となります。 とすると、 (初項)のときに が出てきてしまいますね。この というのは、 番目の奇数を表しています。
よって、 番目の奇数を知りたいのであれば、 の部分に を代入し、
という結果となります。これが、第 群の最初の奇数となります。
<解き方②:各群の最初の数を見て、規則性を見つける>
解き方①では、 つ前までの群に何個の奇数が使われているかを数えました。しかし、第 群の最初の奇数を知りたいだけなのであれば、各群の最初の奇数だけに焦点を絞り、それらの規則性がわかれば第 群の最初の奇数はすぐにわかるはずです。
各群の最初の奇数は、以下のようになっています。
第 群の最初の奇数
第 群の最初の奇数
第 群の最初の奇数
第 群の最初の奇数
これらの数の規則性を考えると、
から へは
から へは
から へは
となっており、同じ数だけ足されているわけではありませんが、足されている数である 、 、 には、 ずつされているという規則性があります。このように、足されている数(もしくはかけられている数)を新たな数の列とみなす場合、これを階差数列と呼びました。
今回、
、 、 、
という階差数列には、初項が 、公差が の等差数列になっているという特徴があるので、 等差数列の公式により、
となります。よって、この階差数列を使ったもとの数列の一般項は、
※の公式において、項数が になっているため、結果のの の部分に を代入した式となっています。
これは、 のときに成り立つ式なので、 のときに成り立つかどうかを確かめなければなりません。
のとき、
なので、第 群の最初の数である と一致していますね。これにより、 のときも成り立つことがわかります。そしてこの一般項は、各群の最初の数をとって数列を作っていたので、第 項である が、第 群の最初の奇数ということになるわけです。
( )第 群の総和を求めなさい。
<解き方①:第 群までの和から、第 群までの和を引く>
例えば、、、、、、、 までで考えたとき、 から までの和を知りたい場合、
( から までの和)ー( から までの和)
を考えれば、答えを導くことができますよね。これと同じことを行っていきます。つまり、まずは最初の奇数である から第 群の最後の数までの和を計算します。次に、から第 群の最後の数までの和を計算します。これらを引くことで、第 群のかたまりのみの和を求めることができるわけです。
では、実際にやっていきます。
第 群の最後の数は、第 群の最初の数から を引けばいい。
※奇数の列について考えているので、 つ手前の数は を引く
第 群の最初の数は、( )の答えの の部分に を代入すればいいので、
となります。さらに、この数から を引き、 という式が、第 群の最後の数となります。足し合わせる数列の初項と末項が分かったので、和の公式を使うためには、あとは項数が必要ですね。項数は、第 群までに奇数がいくつ出てきているかを考えれば求めることができます。各群にはそれぞれ、 個、 個、 個、、 個だけ奇数が含まれていますので、それらの合計は、
ということになります。よって、これらの情報を和の公式に当てはめ、
※あとで整理するため、計算をここで止めておきます。
次に、第 群までの合計を計算します。第 群の最後の数は、第 群の最初の数から を引けば求めることができます。第 群の最初の数は( )で求めたため、その答えから 引き、 となります。項数については、 個までの合計なので、
ということになる。つまり、第群までの和は、
最後に、①から②の式を引き、
※ でくくった
※ を展開した
※ を展開した
<解き方②:第 群の中だけで初項と末項を考えて和を計算する>
第 群の総和を聞かれているので、純粋に第 群の中の数をすべて足し合わせるだけでもいいはずですね。
第 群の初項は( )により、
第 群の末項は<解き方①>により、
項数は、第 群の中の数だけを数えるため、個となります。
これにより、
おわりに
今回は、奇数の列を群数列で並べたときの数列の問題でした。
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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私自身、数学が得意になれたのはただ運が良かったんだと思っています。たまたま親が通塾させることに積極的だったり、友達が入るって理由でそろばんに入れたり、他の科目が壊滅的だったおかげで数学が(相対的に)得意だと勘違いできたり。
”たまたま”得意になれたこの恩を、今数学の学習に困っている人に還元できたらなと思っています。お金は取りません。できる限り(何百人から連絡が来たら難しいかもですが…)真摯に向き合おうと思っていますのでオアシスだと思ってご連絡ください。