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【式と証明】『不等式の証明』相加相乗平均

目次

データアナリストへの道

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整数と分数が混ざった不等式の証明は、「相加相乗」を疑え

今回は不等式の証明を扱いますが、相加相乗平均という技を使って証明していきます。

不等式の証明は「大きい方 \(-\) 小さい方 \(>0\)」で証明することもできますが、「相加相乗平均」という技を知っていると、もっと楽に解くことができます。

相加平均とは、「互いに足し算したときの平均」のことをいいます。一方、相乗平均とは、「互いに掛け算したときの平均」のことを言います。

相加平均

\(\displaystyle\frac{A+B}{2}\)

相乗平均

\(\sqrt{AB}\)

平均と言っても、さまざまな計算方法があるんですね!

そして、この2つの平均に対して、
相加平均 \(\geq\) 相乗平均
となるのが今回のポイントです!

相加相乗平均

\(A>0\), \(B>0\) のとき

\(\displaystyle\frac{A+B}{2}\geq\sqrt{AB}\)

一般的には、以下のように式変形したものが使われる。

\(A+B\geq 2\sqrt{AB}\)

では、実際に問題を見ていきましょう。

相加相乗の問題

\(a\) 、 \(b\) は正の数とする。不等式 \(\displaystyle\big(a+\frac{2}{b}\big)\big(b+\frac{2}{a}\big) \geq 8\) を証明しなさい。また、等号が成立するのはどのような場合か、答えなさい。

答案の例

\(a\) 、 \(b\) は正の数なので、
\(a+\displaystyle \frac{2}{b}\) について、相加相乗平均より、\(\big(a+\displaystyle \frac{2}{b}\big) \geq 2 \sqrt{a \times \displaystyle \frac{2}{b}}\)

\(b+\displaystyle \frac{2}{a}\) について、相加相乗平均より、\(\big(b+\displaystyle \frac{2}{a}\big) \geq 2 \sqrt{b \times \displaystyle \frac{2}{a}}\)

\(2\) 式の辺々を掛け合わせ、
 \(\big(a+\displaystyle \frac{2}{b}\big)\big(b+\displaystyle \frac{2}{a}\big) \geq 4 \sqrt{a \times \displaystyle \frac{2}{b} \times b \times \displaystyle \frac{2}{a}}=8\)

また、等号成立は、\(b=\displaystyle \frac{2}{a}\) 、\(a=\displaystyle \frac{2}{b}\) のときなので、 \(ab=2\)

解説

まず、相加相乗平均について説明します。

相加相乗平均

\(A \geq 0\)、\(B \geq 0\) に対し、 \(A+B \geq 2\sqrt{AB}\)が成り立つ。
 ※等号成立は、\(A=B\)

この相加相乗平均は、不等号が含まれた公式なので、不等式の証明で登場する可能性があります。

また、ルートが入っているため、\(A\)と \(B\)の積が平方数や \(1\) 桁の整数などになる場合にも有効です。

① 不等式の証明は、相加相乗平均を視野に入れよう
② かけ算したときに都合がいい \(2\) 数を探して使おう

今回の問題では、まず \(a+\displaystyle \frac{2}{b}\) と\(b+\displaystyle \frac{2}{a}\)が掛け合わされていますね。

相加相乗平均に関するプラスの特徴として、整数と分数の組み合わせで使われることが多いことが挙げられます。なぜなら、約分してきれいな数になる可能性があるからですね。

今回もひとまず \(a+\displaystyle \frac{2}{b}\) と\(b+\displaystyle \frac{2}{a}\)において相加相乗平均を使ってみます。

\(a+\displaystyle \frac{2}{b} \geq 2\sqrt{a \times \displaystyle \frac{2}{b}}\)
\(\Leftrightarrow a+\displaystyle \frac{2}{b} \geq 2\sqrt{\displaystyle \frac{2a}{b}} \cdots ①\)

\(b+\displaystyle \frac{2}{a} \geq 2\sqrt{b \times \displaystyle \frac{2}{a}}\)
\(\Leftrightarrow b+\displaystyle \frac{2}{a} \geq 2\sqrt{\displaystyle \frac{2b}{a}} \cdots ②\)

もちろんこの式を使うためには、前提として、\(a \geq 0\)、\(\displaystyle \frac{2}{b} \geq 0\)、\(b \geq 0\)、\(\displaystyle \frac{2}{a} \geq 0\)が満たされていなければいけません。
今回は \(a\) も \(b\) も正の数という条件が与えられていますので、すべての不等式を満たします。

さて、ここからの解決方法ですが、①と②単体では、役に立たないように見えますね。

みなさん、
  \(A \geq B\)
  \(C \geq D\)
という \(2\) 式があったとき、それぞれの大きい方である \(A\) と \(C\) の積と、小さい方である \(B\) と \(D\) の積との関係が、
  \(AC \geq BD\)
となることは直感的に理解できると思います。
実際にこの式は成り立ちます。

つまり、今回の問題に適用し、
\(\big(a+\displaystyle \frac{2}{b}\big)\big(b+\displaystyle \frac{2}{a}\big) \geq 4\sqrt{a \times \displaystyle \frac{2}{b} \times b \times \displaystyle \frac{2}{a}}=4\sqrt{2 \times 2}=8\)

このように、うまくルートの中が約分されて整数になりました。
基本、掛けたら約分できそうな数の和がある場合(\(a\)、\(\displaystyle \frac{2}{b}\) 、\(b\)、\(\displaystyle \frac{2}{a}\)など)は、相加相乗平均を一度疑うのがいいでしょう。

また、等号成立は、公式に従い、
 \(a=\displaystyle \frac{2}{b}\)、\(b=\displaystyle \frac{2}{a}\)
となります。この \(2\) 式は同じことを表しているため、分母を払って、 \(ab=2\) となります。

おわりに

さいごまで読んでいただきありがとうございました!

このブログは統計学を学びたい学生/社会人向けに記事を書いています。

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