恒等式:含まれている文字にどんな値を代入しても、その等式が常に成り立つ等式のこと。
例)\((x+y)^2=x^2+2xy+y^2\)
\(x\) と \(y\) に何を代入しても成り立つ。
方程式:特定の値のときにのみ成り立つ等式のことです。
例)\(2x+4=8\)
\(x\) に \(2\) が代入されたときにのみ成り立つ。
恒等式と方程式の違い
今回は恒等式と方程式の違いを解説します!
恒等式を理解する上で、恒等式と方程式の違いを理解することが重要です。
・恒等式とは
・方程式と恒等式の違い
・恒等式を解くときのポイント
これらについて解説していきます。
恒等式とは?
恒等式とは、含まれている文字にどのような値を代入しても、その等式の両辺の値が存在する限り常に成り立つ等式のこと。(方程式は、特定の値のときにのみ成り立つ等式のことです)
例)
① \(2x=4\) は \(x=2\) のときにのみ成り立ちます。
よって、この等式は方程式です。
② \(x^2+3x+2=(x+1)(x+2)\) はどんな \(x\) を代入しても成り立ちます。
よって、この等式は恒等式です。
「特定の値のときに成立する」か「任意の値のときに成立する」かを比べれば良いわけですね!
恒等式を解く時のポイント
ポイント
両辺を同じ形にする。
例)\((2-a)x+4=4\) が恒等式のとき、\(a\) の値を求める。
このままですと、解くことはできません。
\(2x-ax+4=4\)
\(2x+4=ax+4\)
このように式を変形させると、\(a\) の値を求めることができます。
恒等式の問題
次の等式が \(x\) についての恒等式となるように、定数 \(a\), \(b\), \(c\) の値を求めよ。
\(\displaystyle\frac{-2x^2+6}{(x+1)(x-1)^2}=\frac{a}{x+1}-\frac{b}{x-1}+\frac{c}{(x-1)^2}\)
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答案の例
(右辺)
\(=\displaystyle\frac{a(x-1)^2}{(x+1)(x-1)^2}-\frac{b(x+1)(x-1)}{(x+1)(x-1)^2}+\frac{c(x+1)}{(x+1)(x-1)^2}\)
\(=\displaystyle\frac{a(x-1)^2-b(x+1)(x-1)+c(x+1)}{(x+1)(x-1)^2}\)
\(=\displaystyle\frac{a(x^2-2x+1)-b(x^2-1)+cx+c)}{(x+1)(x-1)^2}\)
\(=\displaystyle\frac{ax^2-2ax+a-bx^2+b+cx+c)}{(x+1)(x-1)^2}\)
\(=\displaystyle\frac{(a-b)x^2+(-2a+c)x+a+b+c)}{(x+1)(x-1)^2}\)
よって、
\(-2x^2+6=(a-b)x^2+(-2a+c)x+a+b+c\)
\(\begin{cases}-2=a-b\cdots①\\0=-2a+c\cdots②\\6=a+b+c\cdots③\end{cases}\)
①より
\(b=a+2\) \(\cdots\) ①’
①を③に代入
\(6=a+a+2+c\)
\(4=2a+c\) \(\cdots\)④
②と④について
\(\begin{cases}-2a+c=0\cdots②\\2a+c=4\cdots④\end{cases}\)
\(②-④\) より
\(-4a=-4\)
\(a=1\)
②に代入すると
\(-2\times 1+c=0\)
\(-2+c=0\)
\(c=2\)
\(a=1\) と \(c=2\) を ③に代入すると、
\(6=1+b+2\)
\(b=3\)
よって、\(a=1\), \(b=3\), \(c=2\)
解説
左辺と右辺の形を合わせる
(右辺)
\(=\displaystyle\frac{a(x-1)^2}{(x+1)(x-1)^2}-\frac{b(x+1)(x-1)}{(x+1)(x-1)^2}+\frac{c(x+1)}{(x+1)(x-1)^2}\)
\(=\displaystyle\frac{a(x-1)^2-b(x+1)(x-1)+c(x+1)}{(x+1)(x-1)^2}\)
\(=\displaystyle\frac{a(x^2-2x+1)-b(x^2-1)+cx+c)}{(x+1)(x-1)^2}\)
\(=\displaystyle\frac{ax^2-2ax+a-bx^2+b+cx+c)}{(x+1)(x-1)^2}\)
\(=\displaystyle\frac{(a-b)x^2+(-2a+c)x+a+b+c)}{(x+1)(x-1)^2}\)
両辺の分子を比べる
両辺に\(\times (x+1)(x-1)^2\) をすることにより、各辺の分子を比べる。
よって、
\(-2x^2+6=(a-b)x^2+(-2a+c)x+a+b+c\)
両辺の \(x^2\), \(x\) の係数と両辺の定数をそれぞれ比べる。
\(\begin{cases}-2=a-b\cdots①\\0=-2a+c\cdots②\\6=a+b+c\cdots③\end{cases}\)
連立方程式を解こう
①より
\(b=a+2\) \(\cdots\) ①’
①を③に代入
\(6=a+a+2+c\)
\(4=2a+c\) \(\cdots\)④
②と④について
\(\begin{cases}-2a+c=0\cdots②\\2a+c=4\cdots④\end{cases}\)
\(②-④\) より
\(-4a=-4\)
\(a=1\)
②に代入すると
\(-2\times 1+c=0\)
\(-2+c=0\)
\(c=2\)
\(a=1\) と \(c=2\) を ③に代入すると、
\(6=1+b+2\)
\(b=3\)
よって、\(a=1\), \(b=3\), \(c=2\)
おわりに
今回は恒等式と方程式の違いを解説しました!
恒等式と方程式の違いをしっかりと理解しておきましょう!
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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