\(y=\) (ある文字だけの式)という形を作れ
今回はグラフの最大と最小を求める問題です。
\(2\) 次関数という言葉がタイトルに含まれているため、 \(y=x^2+3x+2\) のように右辺が \(2\) 次式になっているグラフを想定してもらって構いません。
例えば上記のグラフであれば、 \(x^2\) の係数が \(1\) ですので、上に開いたグラフとなります。よって、最小値はグラフの頂点となりますが、最大値は変域がないと求められませんね。
変域によって範囲が区切られていれば、その中での最大と最小がわかるため、「最大値と最小値を求めなさい。」と言われたら、以下の \(2\) つが必要になるのです。
・ \(y=\) (ある文字だけの式)
・グラフの変域
例えば、\(y=x^2+3x+2\) と( \(-6 \leq x \leq 0\))のような感じです。
これを頭に置きながら、以下の問題を見ていきましょう。
最大値と最小値(問題)
実数 \(x\) 、 \(y\) が \(x^2+y^2=4\) を満たしているとき、 \(4x+2y^2\) の最大値、最小値を求めなさい。また、そのときの \(x\) 、 \(y\) の値を求めなさい。
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最大値と最小値(答案の例)
\(x^2+y^2=4\) から、 \(y^2=4-x^2\) となる。
\(y^2 \geq 0\) により、 \(4-x^2 \geq 0 \longrightarrow -2 \leq x \leq 2\)
また、 \(y^2=4-x^2\) により、
\(4x+2y^2\)
\(=4x+2(4-x^2)\)
\(=4x+8-2x^2\)
ここで、 \(z=-2x^2+4x+8\) とすると、
\(z=-2(x^2-2x)+8\)
\(=-2(x-1)^2+10\)
により、グラフの頂点は( \(1\) 、 \(10\) )。
また、\(-2 \leq x \leq 2\) により、グラフは以下のような概形となる。
最小値は、 \(x=-2\) における \(z\) の値なので、
\(z=-2(-2)^2+4 \times -2+8\)
\(=-8\)
また、最小値をとるときの \(y\) の値は、\(y^2=4-x^2\) により、
\(y^2=4-(-2)^2\)
\(=0\)
つまり、 \(y=0\)。同様に、最大値の \(y\) の値は、 \(y=\pm \sqrt{3}\)。
したがって、
\(x=1\)、 \(y=\pm \sqrt{3}\) のとき、最大値\(10\)
\(x=-2\)、 \(y=0\) のとき、最小値\(-8\)
をとる。
最大値と最小値(解説)
まず、多くのことが複雑に起こっているので、状況を整理しましょう。
冒頭で、最大・最小を求める際に必要なものは \(2\) つあるという話をしたと思います。
まずはそれらを作っていきましょう。
ひとまず、変域から探っていきます。
変域は、必ず不等式の形になっていますね。
しかし、現在問題文には不等式がありません。
ないのであれば、作ればいいのです。
でも、どうやって??
こういう場合、疑うべきは \(2\) 乗の存在です。
\(2\) 乗すると、どんな数でも \(0\) 以上の数になることは、中学校で学んでいます。
<正の数を \(2\) 乗する場合>
\(3^2=9\)、 \(5^2=25 \longrightarrow\)正の数
<負の数を \(2\) 乗する場合>
\((-3)^2=9\)、 \((-5)^2=25 \longrightarrow \)正の数
<\(0\) を \(2\) 乗する場合>
\(0^2=0\)
よって、問題で登場している \(x^2\) や \(y^2\) は \(0\) 以上の数であることはわかっているわけですね。
しかし今、問題では「\(x^2+y^2\)」となっています。
「片方ずつについては \(0\) 以上の数だけど、足されてるとなぁ・・・」
簡単です。
「\(x^2+y^2=4\)」という方程式に形になっていますので、片方を右辺に移項してしまいましょう。
今回は、 \(x^2\) を移項し、
\(y^2=4-x^2\)
とします。ここで左辺を見れば、 \(y^2\) だけになりましたので、これは \(0\) 以上の数、つまり、
\(y^2 \geq 0\)
という不等式を導けるわけです。このようにして、不等号を生み出すのです。そして、\(y^2\)と\(4-x^2\)はイコール(同じ値)ですので、もちろん
\(4-x^2 \geq 0\)
とも言えるわけですね。これを変形し、
\(4-x^2 \geq 0\)
\(x^2-4 \leq 0\)
\((x-2)(x+2) \leq 0\)
\(-2 \leq x \leq 2\)
という変域を作ることができます。次に、肝心のグラフを作っていきます。\(4x+2y^2\) の最大と最小を求めるため、このグラフを書けばいいわけですが、今までのグラフを思い浮かべていただけるとわかる通り、
\(y=x^2+x-2\)
\(y=x^2+5x-3\)
などのように、
① 等式になっている(イコールが含まれている)
② 等式の右辺は、文字が \(1\) 種類しか存在していない(今回の例ならば \(x\) )
という特徴をもっています。まず、①について考えていきます。グラフの式がなぜ等式になっているかというと、 \(2\) つの文字の関係性を絵的にわかりやすく表現したいからです。例えば、 \(y=x^2+x-2\) で言えば、仮に \(y=\) の部分がなかったとしましょう。すると、\(x^2+x-2\) となりますね。これだけではグラフを書くことはできませんよね。
ここで、
\(x=1\) のときは、 \(0\)
\(x=2\) のときは、\(4\)
のように、 \(x\) の値によって、\(x^2+x-2\) の式の値が出てきます。
この \(0\) 、 \(4\) のような値を座標として平面にとるために、
\(x=1\) のときは、 \(0 \longrightarrow\) ( \(1,0\))
\(x=2\) のときは、 \(4 \longrightarrow\) ( \(2,4\))
としたかったのです。そこで、 \(x\) の値によって出てきた \(0\) や \(4\) などの値の総称として、仮に \(y\) という文字を使って表現し、
\(x=1\) のときは、 \(y=0\)
\(x=2\) のときは、 \(y=4\)
のようにしました。そうすることで、 \(x\) 座標と \(y\) 座標が生まれ、座標を座標平面にとれるわけです。つまり、今まで \(y=\) という始まりだった式は、\(x\) の値によって出てきた値の総称を仮に \(y\) という文字で表現していたにすぎないので、本来は \(y\) でなくても、他の文字でも全然いいのです。
(みなさんは式と言えば \(y=\) ~というもの、グラフと言えば \(x\) 軸と \(y\) 軸である、という意識が固定化されていると思うので、少し難しく感じてしまうのもわかります。)
例えば、 \(z=x^2+x-2\) 、 \(a=x^2+x-2\) だっていいわけです。その場合は、以下のような座標空間になります。
(縦軸が \(y\) じゃないと、やはり見慣れないですね。)
文字はあくまでもそこにある数を代入しますよ、ということを表すものなので、ちなみに横軸に使われている \(x\) も、本来は別の文字でも良かったりします。
さて、話を元に戻しましょう。
イコールになっていない状態の\(4x+2y^2\) を見た時、仮にこの \(x\) と \(y\) に何か数を代入して出てきた値の総称を \(z\) として、式を作って見ると、
\(z=4x+2y^2\)
となります。しかしこれでは、文字が \(3\) 種類含まれているため、上のような座標平面で表現できません。ここで、右辺の文字を \(1\) 種類に統一する必要があるわけですが、その話が上記の②とつながってきます。\(1\) 種類のみで式を作るには、 \(x\) か \(y\) のどちらかを削る必要がありますが、ちょうどこの解説の前半で、
\(y^2=4-x^2\)
という式が出てきていますね。これを使って \(y\) を消去するように式を変形すると、
\(z=4x+2(4-x^2)\)
\(z=-2x^2+4x+8\)
となりますね。よって、このグラフを書いて、上記で求めた\(-2 \leq x \leq 2\)という変域の中で、最大と最小を求めればいいというわけです。平方完成をして、グラフの頂点を求めてみると、
\(z=-2(x^2-2x)+8\)
\(=-2(x-1)^2+10\)
により、頂点は( \(1\) 、 \(10\) )だとわかります。変域を含んだ図は、答案の例に書いてあるような形になります。さて、ここでの最大と最小を求めるわけですが、最小値は \(x=-2\) の時の \(z\) の値、最大値は \(x=1\) のときの \(z\) の値となりますね。
つまり、
\(z=-8\) が最小で、そのときの \(x\) は \(-2\) 、
\(z=10\) が最大で、そのときの \(x\) は \(1\)
ということになります。しかし、 \(y\) の値がまだ求められていないため、\(y^2=4-x^2\) を使って、 \(y\) を求めていきます。
\(x=-2\) のとき、 \(y=0\)
\(x=1\) のとき、 \(y=\pm \sqrt{3}\)
となるわけですね。
この手の問題は、条件式をどう使うかが鍵です。
ぜひたくさんのパターンに触れながら、傾向を掴んでいきましょう。
おわりに
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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