「\(p\) を \(q\) で割るときの商を \(a\), 余りを \(r\) 」とすると、
と表すことができます。
剰余の定理
剰余とは、「割り算の余り」のことです。
剰余の例(整数)
\(17\) を \(3\) で割ると、\(17=3\times 5+2\) なので 余りは \(2\)
「\(p\) を \(q\) で割るときの商を \(a\), 余りを \(r\) 」とすると、\(p=aq+r\) (\(0\leq r<q\)) と表すことができます。
多項式の場合も同様に考えることができます。
剰余の例(多項式)
\(x^2+3x+1\) を \(x-2\) で割ると、\(x^2+3x+1=(x-2)(x+5)+11\) なので 余りは \(11\)
「\(p(x)\) を \(q(x)\) で割るときの商を \(a(x)\), 余りを \(r(x)\)」とすると、\(p(x)=a(x)q(x)+r(x)\) (\(r\) の次数は \(q\) の次数より小さい) と表すことができます。
剰余の定理の意味
例題
\(P(x)=x^2+5x-3\) を \(x-2\) で割った余りを求めなさい。
解答
剰余の定理より \(a=2\) とすると、
\(P(x)\) を \(x-2\) で割った余りは \(P(2)\) であることがわかる
よって、余りは、
\(P(2)=2^2+5\cdot 2-3=11\)
剰余の定理のおかげで、多項式同士の割り算をしなくても \(P(2)\) の計算をするだけで余りを求めることができました。
剰余の定理の証明
こちらの証明をしていきます。
証明
多項式 \(P(x)\) を\(x-a\) で割ったときの商を \(Q(x)\) 余りを \(R\) とおくと、
\(P(x)=(x-a)Q(x)+R\)
この等式に \(x=a\) を代入すると、\(P(a)=R\) となる。
よって、 多項式 \(P(x)\) を \((x-a)\) で割った余りは \(P(a)\) になる
公式をただ覚えるのではなく、導出の過程が重要なのでしっかりと理解しておきましょう。
>>詳細はこちらから
剰余の定理(例題)
\(ax+b\) で割った余り
例題
\(P(x)=x^4\) を \(2x-1\) で割ったときの余りを求めなさい。
解答
\(P\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)=\displaystyle\frac{1}{16}\)
二次式で割る場合
例題
\(P(x)=x^4+x\) を \(x^2-3x+2\) で割ったときの余りを求めなさい。
解答
余りは一次式になることに注意して商を \(Q(x)\), 余りを \(ax+b\) とおくと、
\(x^4+x=(x^2-3x+2)Q(x)+ax+b\)
ここで、\(x^2-3x+2=(x-1)(x-2)\) より \(x^2-3x+2=0\) の解が \(x=1\), \(2\) であるので、両辺に \(x=1\), \(2\) をそれぞれ代入すると、
\(x=1\) のとき、\(2=a+b\) \(\cdots\) ①
\(x=2\) のとき、\(18=2a+b\) \(\cdots\) ②
② \(-\) ① より \(16=a\)、① に代入すると \(b=-14\)
よって、\(16a-14\)
重解の場合
例題
\(f(x)=x^{10}\) を \((x-1)^2\) で割った余りを求めなさい。
解答
余りが一次式になることに注意して、商を \(Q(x)\)、余りを \(ax+b\) とおくと、
\(x^{10}=(x-1)^2Q(x)+ax+b\)
両辺に \(x=1\) を代入すると、\(1=a+b\) を得る。
これだけでは情報が足りないので、両辺を \(x\) で微分してから \(x=1\) を代入すると、
\(10x^9=2(x-1)Q(x)+(x-1)^2Q'(x)+a\)
\(10=a\)
を得る。よって、余りは \(10x-9\)
注意)積の微分公式 \((pq)’=p’q+pq’\) を使用しています。
剰余の定理(応用問題)
問題
整式 \(P(x)\) を \(x+1\) で割ると余りが \(-2\), \(x^2-3x+2\) で割ると余りが \(-3x+7\) であるという。このとき、\(P(x)\) を\((x+1)(x-1)(x-2)\) で割った余りを求めなさい。
解答
\(P(x)\) を \((x+1)(x-1)(x-2)\) で割ったときの商を \(Q(x)\), 余りを \(ax^2+bx+c\) とすると、次の等式が成り立つ。
\(P(x)=(x+1)(x-1)(x-2)Q(x)+ax^2+bx+c\) \(\cdots\) ①
ここで、\(P(x)\) を \(x+1\) で割ると余りは \(-2\) であるので \(P(-1)=-2\) \(\cdots\) ②
また、\(P(x)\) を \(x^2-3x+2\) すなわち \((x-1)(x-2)\) で割るときの商を \(Q_1(x)\) とすると、\(P(x)=(x-1)(x-2)Q_1(x)-3x+7\)
ゆえに、\(P(1)=4\) \(\cdots\) ③, \(P(2)=1\) \(\cdots\) ④
①, ② より \(a-b+c=-2\) \(\cdots\) ②’
①, ③ より \(a+b+c=4\) \(\cdots\) ③’
①, ④ より \(4a+2b+c=1\) \(\cdots\) ④’
②’ \(-\) ③’ より \(-2b=-6\), \(b=3\)
③’ より \(a+c=1\)
④’ より \(4a+c=-5\)
\(3a=-6\), \(a=-2\)
\(c=3\)
よって、\(-2x^2+3x+3\)
おわりに
今回は、剰余の定理について解説してきました。
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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