\(x\) について整理する因数分解
一般的な「 \(x^2+10x+21\) 」などの因数分解はできる方が多いのではないでしょうか?
答えは「 \((x+3)(x+7)\) 」となりますね。
積が \(21\) 、和が \(10\) になる組み合わせを探し、 \(3\) と \(7\) を導き出したわけです。
しかし、こう簡単に因数分解できないものも多数存在します。この記事では、 \(1\) つの文字について整理することで、因数分解できる問題を紹介します。
一つの文字について整理する因数分解(問題)
次の式を因数分解しなさい。
(\(1\))\(x^3-x^2z-xy^2+y^2z\)
(\(2\))\(2x^2-5xy-3y^2+3x+5y-2\)
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答案の例
(\(1\)) \(x^3-x^2z-xy^2+y^2z\)
\(=(-x^2+y^2)z+x(x^2-y^2)\)
\(=-(x^2-y^2)z+x(x^2-y^2)\)
\(=(x^2-y^2)(x-z)\)
\(=(x+y)(x-y)(x-z)\)
(\(2\)) \(2x^2-5xy-3y^2+3x+5y-2\)
\(=2x^2-(5y-3)x-3y^2+5y-2\)
\(=2x^2-(5y-3)x-(y-1)(3y-2)\)
\(=\big\{x-(3y-2)\big\} \big\{2x+(y-1)\big\}\)
\(=(x-3y+2)(2x+y-1)\)
解説
(\(1\))
今回の問題のように、複数の文字が入っている場合の因数分解では、何かの文字について整理するという思考が非常に役立ちます。
とりあえず、すべての文字について、降べきの順に並べてみる(次数の高い項から順に並べる)ことから始めてみましょう。
\(x\) について \(\longrightarrow x^3-x^2z-xy^2+y^2z\)
\(y\) について \(\longrightarrow (z-x)y^2+x^3-x^2z\)
\(z\) について \(\longrightarrow (-x^2+y^2)z+x^3-xy^2\)
\(x\) についてはすでに問題で整理されていたのでいいとして、\(y\) と \(z\) についての整理された式を見てみましょう。
こういった問題の基本形は、整理された後の式の定数項を見ると、まだ因数分解できます。
実際、\(y\) についての式では、\((z-x)y^2+x^2(x-z)\)
\(z\) についての式では、\((-x^2+y^2)z+x(x^2-y^2)\)
のように、共通因数でくくることができますね。
そうすると、前半の項と後半の項で、再び共通因数のように見える部分があります。
このように、少しずつ因数分解ができてくるわけです。
複数の文字が入った因数分解は、
① ある文字について、降べきの順に並べる
② 定数項に当たる部分を因数分解してみる
③ その後、式全体を見て、再び因数分解できるかを考える
というステップで考えていく!
今回の解答例では、 \(z\) に関して整理して解いているので、 \(z\) について整理した式で考えていきます。
\(z\) についての式は、上記で紹介したように、\((-x^2+y^2)z+x(x^2-y^2)\) です。
また、手前の項について、マイナスでくくると、
$$-(x^2-y^2)z+x(x^2-y^2)$$
となりますね。こうすることで、 \(x^2-y^2\)を共通因数と見ることができるため、
\((x^2-y^2)(x-z)\)
\(=(x+y)(x-y)(x-z)\)
と因数分解できます。
(\(2\))
今回も先程と同様、ある文字について降べきの順に並べるところから始めていきます。
解答例では \(x\) について並べ替えているため、 \(x\) に焦点を絞ってまとめていきましょう。
\(2x^2-5xy-3y^2+3x+5y-2\)
\(=2x^2-(5y-3)x-3y^2+5y-2\)
こうしてみると、定数項の部分が \(y\) に関する \(2\) 次方程式になっているので、因数分解できないか考えてみます。
因数分解するためのたすき掛けを組むと上記のようになり、これにより、\((y-1)(-3y+2)\) となります。
※解答例とは少し違う形になっていますが、マイナスを \(3y-2\) に含まれば同じ結果となります。
ここで再度式を見て見ると、
\(2x^2-(5y-3)x-3y^2+5y-2\)
\(=2x^2-(5y-3)x+(y-1)(-3y+2)\)
これを \(x\) についての方程式と見なして、たすき掛けなどによる因数分解を試みてみます。
これによって、((x-3y+2)(2x+y-1))という結果を得ます。
こういった問題では、解き方が思いつきにくい以下のような並びになっているケースがあります。
$$2x^2-3y^2-5xy+3x+5y-2$$
つまり、 \(x\) についてや \(y\) についてではなく、純粋に次数の高いものから降べきの順に並べている形です。
この中からある特定の文字についてのみ抜き出し、降べきの順に並べることが、こういった問題を攻略するポイントですね!
おわりに
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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