今回は、三角形の角の大きさと辺の長さの関係について説明します。
三角形の形状を大雑把に分類すると次の3つに分けられます。
・鋭角三角形
・直角三角形
・鈍角三角形
上記の分類は、
(コサイン) \(>0\) のとき、\(0^{\circ}\) から \(90^{\circ}\)
(コサイン) \(<0\) のとき、\(90^{\circ}\) から \(180^{\circ}\)
という余弦(コサイン)の性質により分類することができます。
三角形の辺と角の大小関係
三角形について、次のことが成り立つことが知られています。
三角形の2辺の大小関係は、その向かい合う核の大小関係と一致する。
つまり、辺が大きければ大きいほど向かい合う角は大きくなるし、辺が小さければ小さいほど向かい合う角は小さくなる。
(証明)
次のような直線 \(AB\) と直線 \(AB\) 上の点 \(Q\) を考える。
直線 \(AB\) 上に点 \(Q\) をとり、\(\angle{PQB}\) を考える。点 \(P\) から直線 \(AB\) に下ろした垂線の足を \(H\) とすると、\(H\) より \(A\) 側に点 \(Q\) があるとき、\(\angle{PQB}\) は鋭角になり、線分 \(BH\) 上に点 \(Q\) があるときは \(\angle{PQB}\) は鈍角になる。
この結果から、点 \(Q\) を \(A\) から \(B\) の方へ動かすにつれて、\(\angle{PQB}\) は大きくなることが分かる。
まず、\(AC>BC\) である \(\triangle{ABC}\) について、\(A<B\) であることを証明する。\(BC=CD\) となるように辺 \(AC\) 上に点 \(D\) をとると、\(\triangle{BCD}\) は二等辺三角形であるから、\(\angle{CDB}=\angle{CBD}\) となる。
ここで、\(\angle{BAC}<\angle{BDC}\) であるから、\(\angle{BAC}<\angle{CBD}\)、すなわち \(A<B\) である。逆に \(A<B\) のときも同様に考えれば \(AC>BC\) であることは明らかである。したがって、三角形の \(2\) 辺の大小関係は、その向かい合う角の大小関係と一致する。
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三角形の形状を調べる方法
直角三角形・鋭角三角形・鈍角三角形のいずれかであるかを調べる方法を説明します。
三角形の内角の和は \(180^{\circ}\) であるから、三角形の3つの辺のうち、最も長い辺の体格が最大角であり、それ以外の2つの角は必ず鋭角である。
【三角形の形状を調べる方法】
三角形の内角の1つに着目したとき、その角が鋭角・直角・鈍角かを調べるには、その角のコサインの符号を調べれば良い。例えば、\(A\) を調べるときは、余弦定理を利用して
\(\cos A=\displaystyle\frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}\)
の符号を調べれば良い。ここで、分母の \(2bc\) は常に正であるから、\(\cos A\) の符号と \(b^2+c^2-a^2\) の符号は一致する。つまり、\(b^2+c^2-a^2\) の符号を調べれば良いことになる。ちなみにこれは \(a^2\) と \(b^2+c^2\) の大小関係を調べることと同じである。
① \(a^2<b^2+c^2\) のとき、鋭角三角形
② \(a^2=b^2+c^2\) のとき、直角三角形
③ \(a^2>b^2+c^2\) のとき、鈍角三角形
三角形の形状を調べる問題
問題
\(\triangle{ABC}\) において、3辺の長さが次のようなとき、\(\triangle{ABC}\) は鋭角三角形、直角三角形、鈍角三角形のいずれかであるか。
(1) \(a=4\), \(b=3\), \(c=2\)
(2) \(a=5\), \(b=6\), \(c=7\)
(3) \(a=12\), \(b=13\), \(c=5\)
【(1) の解説】
最大辺の長さが \(a=4\) であるから、
\(a^2=4^2=16\)
\(b^2+c^2=3^2+2^2=13\)
となるから、\(a^2>b^2+c^2\) である。
よって、\(\triangle{ABC}\) は鈍角三角形である。
【(2) の解説】
最大辺の長さが \(c=7\) であるから、\(c^2\) と \(a^2+b^2\) の大小関係を調べる。
\(c^2=7^2=49\)
\(a^2+b^2=5^2+6^2=61\)
となるから、\(c^2<a^2+b^2\) である。
よって、\(\triangle{ABC}\) は鋭角三角形である。
【(3) の解説】
最大辺の長さが \(b=13\) であるから、\(b^2\) と \(c^2+a^2\) の大小関係を調べる。
\(b^2=13^2=169\)
\(c^2+a^2=12^2+5^2=169\)
となるから、\(b^2=c^2+a^2\) である。
よって、\(\triangle{ABC}\) は直角三角形である。
おわりに
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
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